エンジンが再び火を吹く2026年。メルボルンの開幕戦に入ってきたルイス・ハミルトンの空気は、昨年とは明らかに違う。フェラーリ移籍1年目は、マシンにも自分にも手こずり、外野の視線も含めて“揺らいだ一年”だった。だが本人は、その揺らぎを過去形にしたいようだ。今週末、パドックに立つ姿は「迷っているハミルトン」ではないと言い切っている。

本人が強調するのは、オフのテーマが“再調整”だったことだ。精神面を立て直し、集中を取り戻し、キャリアを支えてきた自信をもう一度自分の手で掴み直したという。

「初めての経験じゃない。どうやって流れをひっくり返すかは分かっている。でも毎回それが簡単なわけじゃない。だから僕はいつも“前向きなメンタルを育てる”って話をするし、この冬はそこに集中したんだ。」

「大きな部分はトレーニングから来ている。クリスマス当日からハードにやってきた。きついのも分かっている。それでも僕は、自分の周りの誰よりも努力してきたと思っているし、自分を信じている。自分を取り戻すことが、この冬の大きなテーマだったんだ。」

「一瞬、自分が何者かを見失いかけたと思う。でもあの人間はもういない。だから、もう二度とあの僕は見せないよ。」

この言葉が示すのは、単なる気合いではない。フェラーリ1年目に貼り付いた“弱っている姿”を、本人が明確に否定している点だ。自分の中で終わらせた、と言っているのだ。ここが重要だ。速さよりも先に、態度を変えたと宣言している。

その変化はメンタルだけではない。チームの体制、そして自分の周辺も動かした。2025年に難しい関係が続いたレースエンジニア、リカルド・アダミとは袂を分かち、フェラーリのリモートエンジニアリング責任者カルロ・サンティが暫定的に入ったという。さらにマネージャーのマーク・ハインズとも別れ、ハインズはキャデラックへ移ったとされる。ハミルトンは、それを“自然な流れ”として受け止めている。

「時間をかけて積み上がっていっただけだし、普通のことだと思う。」

「人生のどこかで、誰にでもあることだ。大事なのは立ち上がって、これまでを見直して、言った通り前向きなメンタルで戻ってくることだ。」

「だから今ここに来て、すごくいい気分だ。トレーニングも最高だったし、チームとの仕事も素晴らしい。僕自身の周りの環境も変えたし、チームとの関わり方も変えた。チームの動き方も、去年よりずっとスムーズなんだ。」