今週末のサンパウロGPは、選手権の主役ノリス、食い下がるピアストリ、追うフェルスタッペンの三つ巴が真正面からぶつかる舞台になる。マクラーレン勢はここ数戦で互いの強みをぶつけ合い、一方でフェルスタッペンは反撃ムードを強めており、インテルラゴスでの先頭争いは序盤から激化しそうだ。ブラジルでタイトル争いの風向きが大きく変わる可能性が高い。
元F1ドライバーのラルフ・シューマッハは、タイトル争いの行方はサンパウロで大きく動くと指摘した。メキシコではレッドブルが強さを示しきれなかったが、フェルスタッペンは第2スティントで速さを見せており、「ブラジルでは勝てる」と展望する。経験値と完成度で劣勢を覆しうるのは、短時間で勝負が決まるスプリント週末でこそだという含意もある。
一方で今週末の鍵として挙げられるのが天候だ。インテルラゴスの土曜日は雨の予報が出ており、決勝日も含めてコンディションが変化しやすい。昨年のブラジルではフェルスタッペンが豪雨のなかで強さを示しており、グリップ低下とタイヤ温度管理が勝敗を分ける可能性が高い。雨はストレート速度よりもトラクションと安定性を重視するため、レッドブルに味方するとの見立てもある。さらにタイヤ配分やパルクフェルメの制約が、各チームのセットアップ判断を難しくする。スプリント実施により走行時間が限られることも不確実性を増す。
混戦必至の終盤戦で、ブラジルは勢力図を塗り替える分岐点になりうる。ラルフの言う「ここで望みが決する」発言は、マクラーレンが主導権を握る現状でなお、フェルスタッペンが一矢報いる条件が整いつつあるという読みだ。

