
FIA(国際自動車連盟)のモハメド・ベン・スライエム会長が、F1で検討が続くスプリントレースの拡大について「拙速な拡大には慎重であるべきだ」との姿勢を改めて示した。スタッフへの負担増やチームの移動・運用面の課題を理由に挙げ、商業的な魅力と競技の健全性のバランスを求めたものだ。
9月28日(現地)に伝えられた欧州メディアの報道によれば、会長はスプリントを増やす場合に発生する「オフィシャルや運営側の追加負担」や「チームのトラベル面の制約」を問題提起し、導入効果と現場負荷の丁寧な見極めを求めたという。
一方でF1(FOM)側は収益・集客面のメリットを重視し、将来的な拡大に前向きな姿勢を崩していない。プロモーター側の負担増(スプリント開催権料の追加)も取り沙汰されており、関係者の間では追加コストが数百万ドル規模に達するとの指摘もある。
スプリントは2021年に導入され、ここ数年は年間6戦前後で実施されてきた。F1はすでに2026年の暫定スプリント実施計画を発表しており、開催地の入れ替えなど“形の見直し”も進む。競技側トップの慎重論と、商業側の拡大路線の綱引きは今後も続きそうだ。
会長は近時、リバースグリッド案や決勝短縮など“刺激策”の拡大にもブレーキを示しており、「若年層への訴求」という商業的意義を理解しつつも、スポーツとしての一貫性を守る立場を強調している。