FIAは「国際スポーツ規則(ISC)」の一部を改定すると発表した。主な変更点は、ドライバーへの罰金額の軽減や発言の取り扱いにおける柔軟性の導入となった。

■ 罰金は軽減、初犯には猶予も

今回の改定は、FIA会長がロン・モーガン、ギャリー・コネリーらと協議し、他の関係者の意見も踏まえて決定したものだ。「附則B」で定められる罰則に注目が集まった。ドライバーへの罰金上限は1万ユーロ(約160万円)から5,000ユーロに半減。初回の違反に限り、スチュワードが全額の猶予を判断できるようになる。また、審判への侮辱は金銭罰ではなく、グリッド降格などのスポーツ的処分に変更される。一方で、差別的言動には引き続き厳格に対処される。

■ 発言の文脈を重視

近年議論が続くドライバーの言動については、「発言が行われた環境」が考慮されるようになる。たとえば記者会見は「コントロールされた環境」、レース中の無線は「コントロールされていない環境」と見なされ、それぞれ異なる基準で対応される予定だ。正式な採決は次回のオンライン評議会で行われる。

「私は元ラリードライバーとして、競技中の感情をよく知っている。今回の改定は世界選手権や加盟クラブの協力を得て進めた。新たな附則Bは、スポーツマンシップを守りつつ、スチュワードに公平な判断基準を提供する。モータースポーツが誰にとっても開かれたものであり続けることが私たちの使命だ」
──モハメド・ベン・スレイエム(FIA会長)

「ドライバーは若いファンの手本であり、発言には責任が伴う。ただし、レース中と記者会見では状況が異なる。今回の変更はその違いを明確にするものであり、彼らへの理解を深める助けになる」
──ロナン・モーガン(ドライバーズ・コミッティ会長)

「附則Bの見直しを主導してくれた会長に感謝したい。新しいガイドラインにより、スチュワードは場面に応じた柔軟で公正な判断ができる。これにより、モータースポーツの魅力がさらに広がり、世界中のファンに愛される競技になることを願っている」
──ギャリー・コネリー(F1スチュワード会長)