
F1マシンのウイングにおける柔軟性に関する技術指令TD018が、今週末のスペインGPから施行される。この指令は、フロントウイングの過度な「たわみ」を抑制するために導入され、チームはこれまでよりも厳しい静的荷重テストに対応しなければならなくなる。
2024年シーズン中、FIAはフロントおよびリアウイングの柔軟性を高精細カメラで検証していた。特にマクラーレンのウイングが高速走行時に目視で確認できるほど大きくたわんでいたことから、違法手段によるアドバンテージを得ていたのではないかと調査が行われていた。ただし、このリアウイングの挙動は、マクラーレンを含む全チームが技術規則に基づく静的荷重テストをクリアしていたため合法とされていた。
その後、技術規則の改訂によって、柔軟性は75kgの垂直荷重下で2mmに制限され、たわむ“ミニDRS”の抜け道が封じられた。さらに、2025年オーストラリアGPで行われた調査結果を受けて、技術指令が追加導入され、リアウイングのたわみ許容値は中国GPで0.75mm、日本GPから0.5mmに制限された。
新たな柔軟性テストでは、左右両側に100kgの垂直荷重をかけた際のたわみが10mm以下に制限される。また、片側にのみ荷重をかけた場合は20mm以下とされる。フロントウイングのフラップについては、トレーリングエッジのどの部分も6kgの荷重で3mm以上たわんではならない。なお、開幕から第8戦まではこの制限が5mmだった。


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この変更により、フロントウイングの剛性設計は大きく変わることになり、FIAシングルシーターディレクターは「このレギュレーション期間中における柔軟性問題には終止符が打たれる」とコメントしている。
フェラーリ代表のフレデリック・バスールは、モナコGPの週末にこう述べていた。
「スペインは、全チームにとって“新しい前翼レギュレーション”を試す場になっている。我々はずっと前からこの変更に向けて取り組んできた。このレギュレーションが全チームにどんな影響を与えるか分からないけど、大きなゲームチェンジャーになる可能性はある」
レッドブルのクリスチャン・ホーナーも次のように語っている。レッドブルは、空力弾性の活用を始めた最後発のトップチームとされている。
「もしかしたら勢力図には何の影響もないかもしれない。でも変更がある以上、全チームに影響は出る。中立的な結果になるかもしれないけど、それでも影響はある。どのチームにどう影響するかが読めない」
残り16戦、FIAは新しいテストへの準拠を徹底的に監視していく構えだ。テストは、チームはマシンに変更を加えられないパルクフェルメ条件下、予選後の土曜日や決勝前の日曜日に実施。必要があれば決勝後にも静的荷重テストを行うことがあるという。