フォーミュラ1は、近年ウェットコンディションでのレースを困難にしてきた、マシンが後方に巻き上げる水しぶき(スプレー)問題に対し、2026年導入予定の新型マシンによってついに解決策を見出そうとしている。

2026年から適用される次世代のテクニカルレギュレーションでは、ディフューザーの小型化やグラウンドエフェクトの抑制が盛り込まれており、FIAはこれにより水しぶきの発生を劇的に減らせると見込んでいる。タイヤ幅の縮小もその助けになると期待されている。

昨年までに、FIAによって実施された雨用ホイールカバーのテストが失敗に終わった理由について、レーシング・ブルズのCEOピーター・バイヤーは次のようにコメントしている。

「問題の核心はアンダーボディと大型ディフューザーなんだ。ここから水がまさに“吹き出す”ように放出されてしまう」

F1は2023年と2024年にかけて、ホイールに被せるアーチのテストを複数回実施した。だが、フェラーリがフィオラノで、メルセデスがシルバーストンで行った実験でも、スプレーの削減にはあまり効果がなかったという。

だが2026年の到来まで、FIAに対するプレッシャーは高まる一方だ。元F1ドライバーのクリスチャン・アルバースは、スパでのレース遅延に強い憤りを見せ、オランダDe Telegraaf紙に語った。

「例えばレッドブルのように、日曜の雨天を見越してウェットセットアップで挑んだチームは報われなかった。ルクレールを見てみろよ。彼なんかは逆にその恩恵を受けられたわけだ。正直言って、不公平だと感じたね。FIAはこういう問題にもっと真剣に取り組むべきだよ。これは失態だし、弁解の余地はないと思う」

レッドブルの新チーム代表であるローラン・メキースも、同様の不満を口にした。

「僕たちは雨が止むのを待っただけじゃない。太陽が出るのも待たされた。そしてその後も、セーフティカーの後ろを何周も走らされたんだ」

一方で、安全を優先したFIAの判断を支持する声もあった。ジャーナリストのミハエル・シュミットは、慎重な判断の背景をこう解説した。

「何か事故が起きれば、そのとき非難を浴びるのはレースコントロールなんだよ。それを忘れてはいけない」

フェラーリのフレデリック・バスール代表も、その意見に同調した。

「彼らを責めることはできないよ。もし何かあったら、真っ先に批判するのは僕たちだったはずだからね」