
米アップルが2026年から米国内のF1独占配信権を取得した。Motorsport.comのQ&Aによれば、米国では「F1 TV Premium」が単独サービスとしては終了し、Apple TVアプリ内に統合されるという。ユーザーはApple TVの月額サブスクリプションに加入すれば、フリー走行から予選、スプリント、決勝までを視聴でき、マルチビューや4K/HDRといったF1 TVの上位機能も引き続き利用可能とされる。加えて、一部のフリー走行やレースは無課金でも視聴できる枠が設けられる見通しだ。価格はApple TVの月額12.99ドルに含まれる形で、米国内のF1 TV年間・月間プランは今季中に段階的に販売・更新停止となる(年額は10月17日から新規不可、11月17日以降は自動更新停止/月額は12月8日から新規不可・更新停止)という具体的スケジュールも示された。
今回の大型ディールは、これまで米国で中継してきたESPNからの“世代交代”を意味する。ESPNは発表に際し、「われわれがF1と共に米国で築いた成果を誇りに思う。最終シーズンの強い締めくくりを目指し、F1の未来に幸運を祈る」と声明を出している。放映権料は非公表だが、Motorsport.comはアップル側の年間支払いが140〜150百万ドル規模で、ESPNの約9千万ドルを大きく上回る水準と伝える。F1側はアップルの巨大なユーザー基盤とエコシステム活用(News、Maps、Music、Sports、Fitness+等)で若年層への浸透を加速させる狙いだ。
なお、現時点で同様の移行を他地域に拡大する計画は示されていない。F1は既存放送パートナーへの配慮を強調しつつ、視聴スタイルの変化に合わせて将来的な選択肢を探るスタンスだ。米国内の視聴者にとっては“視聴場所の一本化”という利便性と引き換えに、加入の必須化という新たな前提が生まれる。コンテンツの作り方も変わる可能性があり、アップルは映画制作で培った技術をF1中継に応用する意欲を見せる。2026年、F1の観戦体験は米国から大きく更新されることになるといわれる。