上海でのスプリント予選は、フェラーリにとって「手応え」と「現実」が同時に突きつけられるセッションだった。シャルル・ルクレールはSQ3最終アタックで決定的な“デプロイ不調”を食らい、グリッド6番手に沈んだ。走り終えた直後、無線の第一声がすべてを物語っていた。

「一体何が起きてるんだ? バックストレートで0.4秒くらい失ったぞ」

実際、ルクレールはセッションを支配したメルセデス勢、そしてマクラーレン2台、さらにチームメイトのルイス・ハミルトンの後ろに並ぶ形になった。トップのジョージ・ラッセルからは約1秒差だった。だが、怒りの矛先は単なる順位ではなく、「最後の一撃」を潰した理由の分からないロスに向いていた。

ルクレール本人は、ようやくまとめ上げたはずのラップが、まさに最悪のタイミングで壊れたと説明した。失ったのはコンマ数秒ではなく、バックストレートだけで“0.5秒”級だったという。

「残念だけど、良いラップが出せたと思った時に、SQ3の2回目のラップで理由は分からないけどバックストレートで0.5秒失ったんだ」
「だから、分析して何が悪かったのかを理解しないといけない」

痛いのは、これが単発のミスではなく、2026年序盤に各陣営が感じ始めている“メルセデスの予選支配”という大きな流れを、より露骨に見せる形になった点だ。ルクレールは状況を冷静に切り分ける。フェラーリは決勝ペースでは少し良く見えるが、予選ではメルセデスが一段上だという認識だった。

「それで僕らの立ち位置の見え方が変わるわけじゃない」
「レースでは、今の予選での位置よりは相対的に少し強いはずだ。でも、予選ではメルセデスが一段上に見える」

そして核心は“パワーユニットの一発”だ。とりわけデプロイを含む単発性能の出方が、メルセデスだけ別次元だとルクレールは言う。レースでは差が縮まるのに、予選になると一気に開く。この性質がある限り、土曜の短距離決戦では「持っている車の良さ」が結果に直結しにくい。

「どういうわけか、メルセデスのパワーユニットはラップタイムを大きく稼いでくる」
「僕らは予選で、まだその量のラップタイムを見つけ切れていない。でもレースではもっと近い。だから明日は巻き返せると期待している」

一方、4番手を確保したハミルトンの言葉は、フェラーリ陣営の危機感をさらに明確にした。コーナーでは戦える。だが直線で“パワーが足りない”なら、現実は残酷だと断じた。

「やることは山ほどある。マラネロでものすごく強くプッシュして、パワーを改善しないといけない」
「それは去年から意識していた点でもある。メルセデスは僕らや他より早く始めていたと思うし、前回(2014年)もそうだった。彼らは素晴らしい仕事をした。僕らはギャップを埋めるためにプッシュしないといけない」
「マシンの感触はすごく良い。コーナーでは彼らと戦えると思う。でもパワーで劣っているなら、それが現実だ」