メルボルンの週末は、2026年の新世代マシンに対する不満がパドック中に渦巻いた。だが、ルイス・ハミルトンだけは別の景色を見ていた。むしろ彼は、その“新時代”を楽しみ切っていたのだ。

予選後の段階では、複雑になった新レギュレーションをまだ咀嚼している最中だと認めていたという。だが決勝のスタートライトが消えた瞬間、ハミルトンのトーンは慎重さから快活さへ切り替わった。周囲が愚痴を並べる中で、当人は「面白かった」と言い切った。

「僕は個人的にすごく好きだった」
「レースは本当に運転していて楽しかったし、クルマも本当に運転していて楽しかった」
「前のクルマを見ていたけど、いいバトルが行ったり来たりしていた。今のところ、いい感じだ」

結果としても、その言葉が強がりではないことを示した。7番グリッドからスタートしたフェラーリのハミルトンは4位でフィニッシュし、前を行くチームメイトのシャルル・ルクレールの背後に迫った。フェラーリ加入後でベストに近い内容だった、と記事は描写している。

興味深いのは、批判の矛先を向けたくなる質問を受けても、彼がその罠に乗らなかった点だ。マックス・フェルスタッペンやランド・ノリスらが新世代マシンへの不満をはっきり口にした一方で、ハミルトンは「彼らに聞いてくれ」と肩をすくめた。視界の状況が違えば印象も変わる。そう整理して、自分の体験に戻して結論を出した。

「分からない。彼らに聞くしかないね。僕は最高だと思った」
「でも、また言うけど、前に20台もクルマがいる位置だと見え方は違うのかもしれない」
「僕の位置からは、すごく良かった」

決勝の中身も、ただ“気分が良かった”では終わっていない。フェラーリのスタートの強さはテストから話題だったというが、ハミルトン自身も鋭い蹴り出しを決めた。ただしターン1では窮屈な展開になり、ジョージ・ラッセルとの位置関係も絡んでワイドになったと振り返っている。それでも戦いの輪に戻り、レース終盤には手応えのあるペースを得た。あと数周あればルクレールに届いた、というところまで語っている。

「スタートは良かった」
「ジョージが僕を守ってくれていたのかどうかは分からないけど、ターン1で少しワイドになった」
「でもその後はまた戦いに戻って、集団の中でやり合えた」
「その後はずっと、ペースの中でクルマを学ぼうとしていたし、終盤はいいペースがあった」
「あと数周あれば、シャルル(ルクレール)を捉えられたはずだ」
「だからポジティブだ。次のレースに向けて、どこを伸ばせばいいかも分かった。表彰台争いをしていくために改善していける」

一方で、彼は手放しで楽観しているわけでもない。フェラーリはコーナリングではメルセデスと同等に近いが、ストレートスピードで失っている。そう見立て、アップグレード投入と開発の継続を求めた。ここが埋まらなければ“楽しい新時代”は“勝てる新時代”にならない。ハミルトンはそこを分かっている。

「僕らはただ、プッシュし続けないといけない。アップグレードを投入して開発を続ける必要があるし、チームはそのために懸命に動いている」
「どこで失っているのかを見ないといけない。たぶんストレートだ。コーナーでは彼ら(メルセデス)と同じくらい速いんだから」
「だからクルマは良い。ただ、直線スピードが必要だ。そこは解決しないといけないし、僕は必ずできると思っている」