マックス・フェルスタッペンの土曜は、理解不能な形で崩壊した。2026年開幕戦オーストラリアGP予選、Q1のピットストレートでレッドブルが突然スピンし、ターン1へのブレーキングで横を向いたままバリアに激突した。赤旗が出て、フェルスタッペンの予選はその場で終わった。
クラッシュ直後、フェルスタッペンはマシンを降りると自分の手を確認し、念のためメディカルセンターへ向かった。大事には至らなかったが、現場の緊張感はそれだけで伝わる。本人は検査結果を淡々と明かした。
「大丈夫。手が問題ないか確認するためにレントゲンを撮っただけだ。骨は折れていなかった」
問題は、なぜ起きたのかだ。週末序盤の走りは悪くなく、少なくとも前方争いに近い位置へ行ける気配はあった。それでも、Q1の最初の勝負所でマシンが“勝手に”止まった。レッドブルの新パワーユニット計画には注目が集まっていたが、この瞬間に露呈したのは、競争力以前に挙動が説明できないという恐怖だった。
フェルスタッペンの説明は、ドライバーの経験則から逸脱している。ターン1への減速で、リアアクスルが完全にロックしたという。現代F1でそれが起きること自体が異常だ。
「ペダルを踏んだら、リアアクスル全体が完全にロックしたんだ。こういうF1カーでそれは本当に変だ。こんなの、人生で一度も経験したことがない。調べないといけないことが山ほどある。スポーツ全体としても、だ」
さらに本人は、通常のブレーキング手順に入る前の段階で既におかしくなっていたと示唆した。つまり、ドライバーが操作で救える領域を越えていた可能性がある。
「ダウンシフトの前におかしくなった。ペダルを踏んで素早くダウンシフトしたけど、最大ブレーキ圧のところで既にロックしていた。間違いなく、何かすごく変だった」
レッドブルは一夜で原因を突き止め、日曜の決勝仕様へ現実的に戻さなければならない。ここで重要なのは“速さ”ではない。“再発しない”ことだ。同じ現象がレース中に出れば、フェルスタッペンだけでなく周囲も巻き込む。週末を落とすどころの話ではない。
一方で、同じチームには明確な光もあった。新加入のイザック・ハジャーが予選3番手を獲得し、メルボルンで存在感を示した。ただし前にいるのはメルセデスのワンツーで、ジョージ・ラッセルがポール、アンドレア・キミ・アントネッリが2番手だ。ここが今の勢力図を端的に表している。
クラッシュでタイムを刻めなかったフェルスタッペンは20番手扱いとなった。
