FIAとF1は、モナコGPで導入していた「義務的な2回ピットストップ(実質“3セット使用”)」の特別ルールを、2026年から撤回する方針だ。1シーズン限りでの方針転換となった。

このルールは2025年、長年「隊列のまま終わりやすい」と批判されてきたモナコに変化を持ち込む狙いで導入された。通常は2セットで成立するところを、全車が3セットのタイヤ使用を強制され、机上では“ピット回数増=不確実性増”が期待された。だが現実は逆だった。追い抜きが極端に難しいモナコでは、トラックポジションを守るために「意図的にペースを落として後続を詰まらせ、味方のピットウインドウを作る」戦術が加速し、レースは戦略の駆け引きというより、交通整理のような様相を強めた。

記事は具体例として、レーシングブルズがリアム・ローソンを“走る障害物”のように使い、アイザック・ハジャーの上位(トップ6)を固めた場面を挙げている。副作用として、集団が人為的に圧縮されたことで、フェルナンド・アロンソ(エンジントラブルで脱落するまで)やエステバン・オコンにも“呼吸できる余裕”が生まれたという。さらにウィリアムズは、アレクサンダー・アルボンとカルロス・サインツが連なって走り、順位の入れ替えや意図的なペース調整でピットの間合いを捻出し、ダブル入賞(トップ10)を確保したとされる。

不満が噴き出した象徴として、ジョージ・ラッセルが膠着を崩そうとしてシケインをカットし、ペナルティを受けた出来事も触れられている。合法・違法の線引き以前に、「レースを成立させるためのルールが、レースの形そのものを歪めた」ことが問題だった、という論調だ。

結果として、モナコだけに課されていた“3セット使用”の規定は取り除かれ、他のグランプリと同じ標準ルールへ戻る。モナコで追い抜きを増やしたいなら、ルールの小細工ではなく、もっと根の深い手当てが必要だ。F1はそれを、1年で認めた形だ。