メルセデスのF1パワーユニット(PU)を使うカスタマーチームが、開幕戦オーストラリアGP(メルボルン)で新しいエンジン仕様の投入を受ける見通しとなった。プレシーズンテストでは、メルセデスが顧客向けに“実績あるベース仕様”を供給し、ワークス側で最新開発仕様を評価していたが、その差分が開幕戦で解消される形となる。

事情は複雑だ。大幅な新規則の導入で、メルセデスは自陣営に加え、マクラーレン、アルピーヌ、ウィリアムズの計4チームへPUを供給する。限られた時間とホモロゲーション(仕様固定)の期限が迫る中、テスト段階では顧客に「まずは変数を減らす」方針を取ったという。新ルール下でエネルギーマネジメントが一段と複雑化しており、顧客各チームにはPUの微差を追うより、車体と運用の理解を優先させた格好だ。

一方、ワークスのメルセデスは、M17 Eとされる“性能志向の進化版”をテストで検証し、シーズン中に固定する仕様の詰めを進めた。両仕様の性能差は「劇的ではない」と見られているが、F1ではわずかな上積みが結果を左右する。開幕戦を迎えれば、規則上の“同一供給”が求められ、顧客3チームにも同等のハード・ソフトが渡ることになる。

マクラーレンのチーム代表アンドレア・ステラは、この状況に不満を表に出さなかった。むしろ、PUメーカー側が強いられた開発スケジュールの厳しさに言及し、要点を「開幕戦に正しい仕様が間に合うか」に置いた。

「ハードウェアの仕様については、あまりコメントしたくない」
「それはHPP(メルセデスのPU部門)が、カスタマーとワークスにPUを供給する上で採った戦略の一部だと思う」

「PUメーカーにとって、非常にタイトで強く押し込まれたプログラムだった。シャシー側の観点だけでなく、という意味だ」
「ただ重要なのは、レース1に向けて正しい仕様が用意されることだ」

「僕らがこのテストで使ったPUは、極めて高い信頼性で動いてくれた。僕らがやりたかったテストをすべて実行できたし、PUとシャシー、そしてドライバーの相互作用について学ぶ機会にもなった」