アストンマーティンが2026年シーズンに掲げた「ホンダとのワークス体制」と、エイドリアン・ニューウェイの参画による再建構想が、開幕直前に深刻な試練に直面している。英BBCが報じたところによると、ニューウェイは今週バーレーンでホンダの新世代パワーユニット(PU)が規則で定めるエネルギー回生の「下限」すら満たせていないと、非公式に警鐘を鳴らしたという。
複数のメディアによれば、問題はハイブリッドの回生能力にある。ホンダPUは回生の規制「下限」である250kWに達せず、さらに特定条件で求められる350kWのしきい値は「完全に射程外」だとされた。これが事実であれば、アストンのAMR26はストレートで力を失い、車体の性能評価そのものが困難になる。回生が正常に機能しなければ、空力やセットアップの良否を切り分けられず、開発の指針が定まらない状態に陥るからだ。
危機は速さだけにとどまらない。バーレーンでのテストでは信頼性の欠如が際立ち、アストンは全チーム中で最少周回に沈んだと伝えられた。最終日には状況がさらに悪化し、ホンダ側に「稼働可能なバッテリーが1基しか残っていない」状態となり、ランス・ストロールはわずか6周で走行を終える屈辱的な形になったという。
追い打ちをかけたのが、アストンが初めて自社開発したギアボックスだ。日本製PUとの統合を前提に設計されたにもかかわらず、エンジン側と「意思疎通できていない」ような挙動を示し、フェルナンド・アロンソとストロールは予測不能なマシンの制御を強いられているとされた。二度の世界王者であるアロンソにとっては、かつてマクラーレン・ホンダ時代に味わった「GP2エンジン」と揶揄された苦境の記憶がよみがえる展開となる。
表向きは楽観を崩さない姿勢が示されている一方、時間は限られる。回生能力の回復と稼働率の改善が進まなければ、「ニューウェイ革命」は本格的に始まる前に失速しかねない。アストンの2026年計画の根幹を揺さぶる重い警告となっている。
