レッドブルのチーフデザイナーで、近年のF1支配を技術面から支えてきたクレイグ・スキナーが、ミルトンキーンズ拠点のチームを離れた。複数報道が伝えている。

一般のファンにとってスキナーの名前は、ドライバーやチーム代表ほど前面に出る存在ではなかった。一方でチーム内部では、設計と開発の中枢にいた人物として影響力が大きかった。

スキナーはグラスゴー大学で工学を学び、2006年シーズン開幕期にCFD(数値流体解析)の専門職としてレッドブルに加わった。その後は空力部門で着実に役割を拡大し、部門責任者を経て、2022年にチーフデザイナーへ就任した。エイドリアン・ニューウェイやテクニカルディレクターのピエール・ワシェと並び、車両コンセプトを実機へ落とし込む最前線を担ってきた。

この離脱は、レッドブル上層部の人員再編が続く中で起きた。ただし関係者の話として、昨季にあったウィル・コートニー(マクラーレンへ)やジョナサン・ウィートリー(アウディへ)といった注目度の高い離脱と、直接に結び付くものではないとされる。とはいえ時期が示すのは、かつて固定的に見えた技術と組織の枠組みが、ゆっくり塗り替わっている現実だ。

一方で競争力の見通しは、必ずしも暗くない。チーム代表ローラン・メキーズ体制の下で、レッドブルは2025年終盤に勢いを取り戻し、2026年プレシーズンへ慎重な楽観を持ち込んだとされる。鍵になるのはRB22だ。フォードと共同開発した自社プロジェクト由来のパワーユニットを搭載する最初のマシンで、電気エネルギー運用の効率が初期評価で強みとして意識され、ライバルからも一定の反応が出ているという。

F1は個人の去就を立ち止まって語る時間が少ない。ただレッドブルの技術部門では、スキナーが主導してきた設計レビューやシミュレーション精査の不在が、静かな場面ほど効いてくる可能性がある。現時点で、スキナーの次の進路は示されていない。