バーレーンの夕暮れは、例年ならプレシーズンテストの締めくくりを告げる合図だ。だがハースにとって、サクヒール最終日の空気は「終わり」ではなく「始まり」に近かった。苦しい2025年を経て冬の立て直しに取り組んだチームは、楽観と確かなデータを抱えて砂漠を後にした。
その中心にいたのがエステバン・オコンだ。オコンは、たった3日間の走行で異例の収穫を得たと確信している。走行距離は伸び、信頼性も安定し、エンジニアはシミュレーションとセットアップ検証を途切れさせずに回し続けた。
「気分はいいよ」
「テスト全期間を通して、僕らはたぶん周回数が2番目に多いチームだ」
「信頼性の面では本当に強い。たくさんの情報とデータを集められたし、パフォーマンスと理解の両方で前進できた」
テストは最速ラップだけが価値ではない。ハースは、オリー・ベアマンが総合6番手タイムで注目を集めた一方で、ロングラン中心の安定した周回、少ない中断、そして着実な改善で関係者の目を引いた。ライバルの一部が初期トラブルの解消に追われる中、ハースは早い段階でコースインできたことが、新レギュレーション下の理解を進める“先手”になったとオコンは見ている。
「準備の良さという意味では、僕らは最初の方にクルマをコースへ出せたチームの一つだったと思う」
「準備ができていないチームもいた。僕らはできていた」
「それに、僕らは昨年のかなり遅い時期にアップデートも投入していた」
「そういう状況で、ここまで準備できていて、早い段階から距離を稼げたのはチームとしてとても印象的だった」
ただし、課題が消えたわけではない。エネルギーマネジメント周りなど、直すべき点は多く、走らせながら学んでいく領域も残っているという。それでもオコンは、この3日間の密度が「昨季1年分」に匹敵したと断言した。
「もちろん、まだ理解しないといけないことはたくさんある」
「エネルギーマネジメント周りとか、直して良くしないといけない項目が多いし、走りながら学んでいる最中だ」
「でも全体としては、たった3日で、昨年1年を通して学んだ量と同じくらいを学べたと思う」
チーム代表の小松礼雄も、慎重な高揚感を隠さなかった。価値は周回数そのものだけではなく、その周回がもたらした「理解の明確さ」だという。信頼性が高いからこそ走り続けられ、走るたびに理解が増える。その循環を、今後の準備期間で消化し、次の最終テストに繋げる構えだ。
「クルマの理解がもう一段進んだ。それは素晴らしいことだ。これから数日かけてそのデータを消化し、最終テストに向けて計画を立てる」
「この素晴らしい信頼性のおかげで、今日は145周走れた。素晴らしい」
「クルマを走らせ続けられるし、走っている時は毎回もっと理解できる」
「このテスト全体にとても満足しているし、良い進歩ができた」
