メルセデスのジョージ・ラッセルが、2026年レギュレーションで導入される新世代F1マシンをめぐる早期の反発に対し、結論を急ぐべきではないと訴えた。議論が先行しやすい新時代の入り口で、まずは冷静に「開発と適応の時間」を見るべきだという立場だ。
バーレーンで行われた最初の3日間テストは、ドライバーにとって新型車の初の本格体験になった。車体は軽量化され、より俊敏な方向へ振られ、パワーユニットは出力の半分をハイブリッド由来のエネルギーで賄う設計だ。一方で、コーナーでのエネルギー回収、ストレートでのコースティング、ターボ管理の難しさなどが注目され、違和感や懸念も広がっている。
ラッセルは「進歩」と「学習コスト」を同時に語った。評価の前提として、今はまだ序盤に過ぎないという。
「僕は、これは前進だと思っているし、いつも物事にはチャンスを与えたいと思っている」
「僕らは、3年以上続くことになるレギュレーションの、たった4日目にいるだけだ。この最初の数カ月で、みんながどれだけ進歩するかはとてつもなく大きいはずだ」
「クルマは、運転していてずっと気持ちいい。小さい世代のF1カーを運転したのはこれまで2回しかないけど、軽くて小さいことでどれだけ俊敏に感じるか、その差に驚いた。そこはすごく前向きだ」
一方で、複雑さの矢面に立っているのは、ドライバー以上にエンジニアだという見立ても示した。さらに、バーレーンとバルセロナという“比較的やさしい”条件のコースだけで全体像を断定するのは危険だと釘を刺した。
「エンジンはすごく複雑だ。正直、ドライバーよりもエンジニア陣のほうが頭を悩ませていると思う」
「ただ、この2つのコース、バルセロナとバーレーンは、エンジンにとってはおそらく最も楽なサーキットの部類だ」
「だから、メルボルンやジェッダみたいな場所に行く前に、あれこれ言い過ぎたくない。ああいうコースに行けば、エンジンもエネルギー運用もずっと難しくなるはずだ」
新パワートレイン特有の運転作法については、具体的な不満点も隠さない。ターボを回し続けるために低いギアで高回転を維持する必要があり、従来の感覚とは逆行する挙動が出るという。
「僕らが直面している課題の一つは、コーナーでとても低いギアを使わなきゃいけないことだ」
「ここバーレーンだと、普通なら1コーナーは3速で曲がるコーナーだ。でも今は、ターボを回し続けるためにエンジン回転数をすごく高く保たなきゃいけなくて、1速を使わなければならない」
「ギアを落としていくときに、時々ハンドブレーキを引いたみたいに感じることがある。ここが一番うっとうしいし、直感的でもない部分だ」
「でも、それ以外の部分では、フルで350kWを使えたときのパワー量に文句は言えない。しかも、ここから数カ月で大きく進化すると思う。だから時間を与えるべきだ」
ラッセルはさらに、「2026年規則は走りだけで完結しない」とも強調した。メーカー参入を促す狙い、そして当時の欧州におけるEV推進の流れが背景にあり、理想だけで全員を満足させるのは不可能だという現実論だ。
「人生のあらゆることと同じで、すべての項目に丸を付けることはできない。しかも、もっと大きなものが懸かっている」
「このレギュレーションが動き出した頃、EUからのEV推進の流れが明確に強かった。アウディのようなメーカーが入ってくる上で、そこが大きな要素だった。だからその点も考慮しなければならない」
「それに、いまのF1が素晴らしい状況にあることは誰も否定できないはずだ。もちろん、僕らは最高のクルマ、最速のクルマ、最高のレースを望んでいる。でも、どうやって全員を満足させるのか、僕には分からない」
「ランドが言っていたように、僕らはこの立場にいられること自体が恵まれている。正直に言えば、僕はただ勝ちたいだけだ」
「最近たくさん勝っているドライバーなら、最高のクルマと、運転して一番楽しいクルマを求めるだけにもなるんだと思う」
「だから、まあ、フェルスタッペンはノルドシュライフェに行くのも歓迎じゃないかな」
