F1パドックに不穏な空気が広がっている。マクラーレンのオスカー・ピアストリは、2026年シーズンの苛烈な戦いはターン1ではなく「そこへ到達する前」、つまりスタート手順そのものにあると見ている。スタートを少しでも誤れば、最大で6~7ポジションを失いかねないというのだ。

背景にあるのはMGU-Hの撤廃と、新たなターボのスプール手順だ。スタート前には少なくとも10秒間、高回転を維持することが求められ、タイミングを外すと加速が鈍ったり、最悪はアンチストールに落ちたりする。ピアストリは、計算された精度ではなく“機械的なルーレット”に近い局面が生まれていると捉えている。

その危うさは先週のバーレーンですでに表面化した。アルピーヌのフランコ・コラピントがスタートで乱れ、ピットストレートのバリアに突っ込みかけた。これはもはや「いつもの発進」ではなく、ハイリスクの賭けになりつつある。

ピアストリは現状の手探りぶりを隠さない。各車が求める条件が違い、まだ“正解”が固まっていないという。

「スタートでは、みんなそれぞれ違うものを必要としている。」
「正直に言うと、僕らの誰も、いま何が必要なのかを正確には分かっていないと思う。」

「たぶん大まかな見当はついているし、きちんとスタートする方法は見つけられるはずだ。」
「ただ去年の良いスタートと悪いスタートの差は、ホイールスピンが少し出たとか、反応が遅れたとか、その程度だった。」

「でも今年は、実質的にF2みたいに、ほとんどアンチストールに入りかけるような状況になり得る。」
「5メートル失うだけじゃない。失敗すれば6~7台落とすことだってあり得る。」

さらに深刻なのは後方グリッドの車両だ。必要な10秒を確保できない可能性があり、競争力だけでなく安全面にも波及する。マクラーレンのアンドレア・ステラ代表は早急な見直しを求めており、ピアストリも同調している。

「スタートは対処が必要だ。」
「みんなが見た通り、いまは“安全なスタート”をするだけでもかなり複雑な手順だ。競争力のあるスタートとなるとなおさらだ。」

「メルボルンまでの間に、これは間違いなく話し合うことになるし、議題はたくさんある。」
「スタート、オーバーテイク。オーバーテイクも確実に去年とは違ってくる。」

オーバーテイクについても、DRS時代とは構造が変わる。いまは“エネルギーブースト”を使うために、まず追加エネルギーを回収し、それを放出しなければならない。しかしルールの制約で、それが常に簡単とは限らない。

「DRSは、使えば純粋に有利になるものだった。」
「でもいまはエネルギーブーストだから、まずその追加エネルギーを何らかの方法で回収して、それから放出しないといけない。しかもルール次第で、それがいつも単純にできるわけじゃない。」

「だから各メーカーが、どう再配分するか、どう最適化するかを詰めていくことになると思う。オーバーテイクをできるだけやりやすくするためだ。」

「追従については、正直言って去年ととても似ていると思う。僕にとっては大きな驚きではない。」
「ただメルボルンまでに、話すべきこと、対処すべきことは確実にたくさんある。」