アウディのチーム代表ジョナサン・ウィートリーは、バーレーンでのプレシーズンテストを経て、アウディが足場を固めつつあり、ガレージ内の運用が「F1チームがあるべき姿」に近づいてきたと語った。旧ザウバーの組織と、急拡大するアウディのパワートレイン部門を統合する作業は容易ではなく、この冬は締め切りとタスクが折り重なる慌ただしい時間だった。それでもバーレーンのガレージでは、チームの呼吸が合い始める変化を感じ取ったという。

「外から見てもそう感じたと言ってもらえて心強い。内部的にも、シャシーとパワートレインという、ものすごく才能ある2つの集団をまとめて、短い冬の間に“チーム”として編み上げようとしてきた」
「バルセロナとバーレーンで見え方が変わったと聞かれたが、僕らはまさにそこに取り組んできた」

スペインでの最初の公開走行は、まだ音合わせをしているオーケストラのようだった。一方でサクヒールではロングランが増え、ピット作業は滑らかになり、エンジニアとドライバーのニコ・ヒュルケンベルグ、ガブリエル・ボルトレトの間の意思疎通も明確になった。走行距離も大きく積み上げたという。

「みんなで集まってビールを飲む機会すらなかった。チームビルディングのイベントなんて、なおさらだ」
「だからバルセロナでは本当に“初期段階”という感じだった。でも今週の終盤には、少なくともガレージの中では、F1チームがどう動くべきかという姿に、かなり見えてきた」

ウィートリーが強調したのは、信頼性といった機械面だけではない。プレッシャーのかかる場面での連携や、会話の質といった“人の要素”が、過酷なF1では結果を左右すると見ている。

「チーム内のコミュニケーションもそうだ。高圧力の状況がいくつかあったし、僕らはそこを磨いてきた。昨年、重点的に狙う領域も特定した。今のところ、目指す場所へ向かって進んでいるように見える」

テストはクルマの性能確認だけではなく、オペレーション全体の“実地ストレステスト”だとも説明した。空輸の仕組み、物流、人員移動、ガレージ運用、ドライバーとの双方向コミュニケーション、走行計画など、連鎖する全工程を現場の圧力下で検証する時間だという。

「テストというと、みんなクルマに目が行きがちだ。でもここに来ると、僕らはあらゆるものをテストしている。空輸の仕組み、物流、人を行き来させる段取り、ガレージのオペレーション、ドライバーへの伝達、ドライバーからのフィードバック、チーム内の情報連携、走行計画……」
「テストにはレースより多くのエンジニアと、より多くの人がいる。全員が意見を持っているし、それをまとめて“全体像”にして、翌日の走行計画に落とし込まなければならない。大きな挑戦だし、過小評価すべきではない」

冬の間にエンジニアリングとオペレーション面の体制も微調整した。その効果が、いまの一体感として表れ始めていると見ている。

「僕が“よりまとまって見える”と言っているのは、そこからも強く感じている。冬の間に、特にエンジニアリングと運用の構造を少し変えた。今のところ、それが実を結び始めているように見える」

バーレーンのアウディは周回を重ねただけではなく、空力のアップデートも持ち込み、パドックの関心を集めた。正式参戦はまだ先だが、意図を示す一手だったという。そこでウィートリーは、現時点の到達点に「ほとんど誇りを感じる」と言い切った。

「僕らが今いる場所を、ほとんど誇りに思っている。クラッシュテストを通過したし、最初にコースインしたチームでもあった。バルセロナでは新しいパワートレインで走り、ここには新しい空力パッケージを持ち込んだ」

さらに、これは技術成果以上に、チームの野心と姿勢を示すサインだと位置づけた。独自の解決策を持ち込む大胆さと創造性は、参戦初年度に向けた“本気度”の証明だという。ただし出発点の現実も見誤らず、謙虚さは失わないと付け加えた。

「チームの野心が表れていると思う。同時に、大胆さと創造性も示している。だって他の誰も、この解決策を思いつかなかった」
「僕らが本気だという良い指標になると思う。でも、僕らがどこから出発しているかについては謙虚でもある」