マクラーレン代表アンドレア・ステラが、FIAに対しF1の2026年レギュレーションについて、安全性に関わる3つの重要点を「緊急に」見直すよう求めた。まだ本格的なレースが始まる前から、回避可能なリスクがすでに見え始めているという立場だ。

バーレーンでのプレシーズンテスト初週が金曜に終わり、焦点はラップタイムから現実的な安全検証へ移った。ステラは今週の接近した走行状況を踏まえ、来月の開幕戦オーストラリアGP(メルボルン)までに、比較的小さな技術調整で是正できる危険があるとみている。

1)レーススタート手順:グリッドでの“遅い発進”

最大の懸念の一つが、スタート手順だ。新世代パワーユニットでMGU-Hが廃止された影響で、ターボラグを避けるためドライバーはグリッド上でより高い回転数を、より長く維持する必要がある。結果として発進が不安定になりやすく、とりわけ後方グリッドでは危険が増すという見立てだ。

「レーススタートの手順が、すべてのマシンで“パワーユニットが発進できる状態”になるようにしないといけない。グリッドは、発進が遅いマシンが出てほしい場所ではない」

ステラは、性能の優劣をならす話ではなく、最も混雑し脆弱な局面で、停止や鈍い発進のマシンが障害物化する事態を防ぐべきだと主張している。

2)DRS不在の接近戦:速度差が小さすぎるリスク

2点目と3点目は、高速域での“マシン同士の関係”に関わる。2026年規定ではエネルギー運用が大きく変わり、ストレートで急に減速してエネルギーを「回収(ハーベスト)」する挙動が起き得る。そこに、局面によって従来型DRSが使えない状況が重なると、極めて小さな速度差で追走が続き、重大事故の引き金になり得るという警告だ。

ステラは、過去の“宙を舞う事故”を引き合いに出し、危険の具体像を示した。

「これは、接近して追走しているときに理想的な状況ではないかもしれない。過去に何度か見たように、バレンシアのウェバーや、ポルトガルのパトレーゼ、ほかにも、F1で二度と見たくない事故につながり得る」

3)“リフト&コースト”抑制:電力供給の小修正で危険を減らせ

ステラが問題視するのは、バッテリー制約の副作用として生まれる「リフト&コースト」が、後続車との速度差を危険な形で作り出す点だ。これを抑えるため、バッテリー出力の使える範囲(可用性)を小さく調整し、急減速を誘発しにくくする“シンプルな修正”が可能だと提案している。

シーズン直前の技術変更は政治的反発を招きがちだが、ステラは今回が例外だと強調した。論点は速さではなく、安全だという。

「僕たちは予選でどれだけ速いかを話しているわけではない。レースペースの話でもない。グリッド上の安全の話だ」
「競争上の利害よりも、明らかに大きいテーマがある。僕にとって、簡単な調整で達成できる“グリッドの安全”は、議論の余地がない。より大きな利益だ」

F1コミッションは来週会合を予定している。ステラは、ここで直ちに“簡単な調整”を承認し、オーストラリアGPを安全な前提で迎えるべきだと迫った。

「これは不可欠だ。可能で、しかも簡単だから不可欠だ」
「簡単なことを複雑にすべきではない。すぐに可能なことを先延ばしすべきでもない。だから、オーストラリアの前に必ず達成しないといけない」