ミック・シューマッハーが、インディカーでの初めてのオーバルテストを終え、満面の笑みでパドックを後にした。舞台はホムステッド=マイアミ・スピードウェイ。1.5マイルのオーバルを、ラハル・レターマン・ラニガン・レーシングの黒い47号車ホンダで97周走り込み、未知の領域に正面から飛び込んだ。

高速域での左コーナーが延々と続くオーバルでは、タイヤの劣化、挙動変化、セットアップの違いが容赦なくドライバーに突きつけられる。シューマッハー自身も、序盤から学習のスピードは速かったと振り返っている。

「かなり早い段階で感覚は掴めた。車高が高めだったから、クルマはかなり動いていたし、リアがルーズだった。変更を入れていくと、少しずつプッシュ(アンダーステア傾向)が出てきた。全体として、僕が“体験したい両極端”を味わえたと思う。強いアンダーステアもあったし、リアがかなりルーズな瞬間もあった。それを経験できたのはすごく良かった。そういう局面でクルマがどう振る舞うかを見られたからだ」

「むしろ、もっと自信がついたし、もっと快適になった。当然、基本的にはアンダーステアの方が運転は楽だ。安心感と安全面の余裕が一番出るからだ。あとは、僕がどこまでの挙動なら乗れるのか、何が自分にとって快適なのかを見つけていく必要がある。それと同時に、クルマのどんな設定が好きなのかも探っていく必要がある」

彼が落ち着いて作業に入れた背景には、チーム側の“姿勢”があった。結果を誇示する日ではなく、学ぶ日に徹する。その合意が、初オーバルの緊張をほどいていった。

「彼らが僕に言ってくれたのは、『今日は何かを証明しに来たんじゃない。学びに来たんだ』ということだった」

その言葉は、まさにシューマッハーが取りたかったアプローチと一致したという。新しいチーム、新しい環境、初めてのオーバル。初日ほど、つい背伸びして“何か”をやりたくなる。しかし彼は、そこを引き戻した。

「その考え方が、僕には本当に刺さった。まさに僕が取りたかったアプローチだったからだ」
「チームと“ちゃんと”初めて一日を過ごすとなると、どうしても何かを余計にやりたくなることがある」
「でも、そのマインドセットに戻れたことで、本当に楽になった」
「今日は期待値を下げて、僕のペースで全部やるだけだ、という気持ちで入れた。それがすごく良かった」