メルセデス・ベンツと5年間、スポットライトとアスファルトを分け合ってきたゲイドンのメーカーは、セーフティカーとメディカルカーのプログラムから正式に手を引いた。これにより2026年シーズン、最重要の支援任務はシルバーアローが全面的に担うことになる。
2021年以降、F1ではレース中断時に先導する車両が「ブリティッシュ・レーシング・グリーン」と「メルセデス・レッド」で交互に現れる光景が当たり前になっていた。だが、F1との契約が2025年末で満了するのに伴い、アストンマーティンは撤退を選択した。週末の景色の一部になっていた656馬力のヴァンテージと、697馬力のDBX707(SUV)も、ひとつの時代を終える。
アストンマーティンが一歩退く決断を下した背景には、エグゼクティブ・チェアマンのローレンス・ストロールが直面する厳しい財務環境がある。
カナダ出身の富豪が率いるF1チームは、ホンダと組む「ワークス」時代へ向けて準備を進めている。一方のアストンマーティン本体は逆風のただ中にあった。2025年後半の報道では、負債が10億ポンドを超え、卸売台数の減少にも苦しんでいるとされた。中国での需要減速に加え、世界的な関税の影響も重なった。
ストロールの強い主導のもと、同社はコスト最適化の徹底と、複数回の資本調達でバランスシートの安定化を迫られてきた。世界を転戦するセーフティカー運用の高コストな物流は、もはや正当化しづらい贅沢品になっていた可能性が高い。
アストンの離脱により、2026年は“元の姿”に戻る。メルセデスAMGが、730馬力のGTブラックシリーズとGT 63 S 4MATIC+を、全24戦で供給する。
