キャデラックのF1への長い道のりが、ついに最大の節目を迎えた。16日金曜のシルバーストンで、アメリカの名門キャデラックは2026年型マシンを初めて走らせ、厳重に管理されたシェイクダウンを行った。
最初のラップという栄誉を託されたのはセルジオ・ペレスだった。カメラが回り、エンジニアが息をのむ中、ペレスは新車を走らせてチェックを進めた。サーキットにはバルテリ・ボッタス、そしてリザーブの周冠宇も姿を見せたが、走行は短い限定的なものだった。狙いは明確で、まずは走らせ、データを集め、そして他は徹底して隠すことだった。
キャデラックは短い動画も公開した。SNSではフェラーリ製パワーユニットのエキゾーストノートが注目を集めたが、それ以上の情報はなかった。
秘密主義は徹底していた。ガレージ周辺では漏えい防止のため、入場者の携帯電話のカメラがステッカーで塞がれていたと伝えられている。撮影を許されたのはチームの公式クルーだけだった。
本格的なお披露目は、来月のスーパーボウル広告で劇的に行われる見通しだ。時期はF1最初のバーレーン・プレシーズンテスト直前に重なるとされる。
それでも、シルバーストンのガレージ内から撮られた“遠目の写真”はいくつかSNSに流出した。F1で完全な秘匿を貫くのは、結局は幻想だという現実もまた露わになった。
この日は順風満帆ではなかった。技術的なトラブルで序盤の走行が遅れたと報じられ、走り出してからもシルバーストン特有の天候が難度を上げた。
それでも最重要のチェックは完了した。エンジンは火を入れ、マシンは自走し、キャデラックは「コース上のF1チーム」になった。ペレスは初走行後、感情の熱を隠さなかった。
「今日は本当に素晴らしい日だった。チームとして最初の周回を完了できたことを、みんなが信じられないほど誇りに思うべきだ」
「この瞬間のために、全員がものすごく努力してきた。モータースポーツの歴史の一部になれたのは胸が熱くなる出来事だった。もちろん楽しむべきだ。でも同時に、僕はもっとやりたくて仕方がない。とにかくまた乗って走行距離を稼ぎたい。これはまだ始まりに過ぎない」
この“初シェイクダウン”は、同じく2026年の新顔であるアウディがすでに辿った道でもある。アウディは先週、バルセロナでのフィルミングデーで“改名後初”のザウバー車を走らせていた。
チーム代表のグレアム・ロードンも、節目の重みを強調した。
「今日という日は、チームに関わる全員の、数え切れない時間の努力と献身、そして信念の結晶だ。短い期間で、僕たちがどれだけ前進しているかを示している」
「実戦のガレージ環境でチームとして噛み合い、車両システムを検証し、初期の課題を解決する絶好の機会になった。ただ、これは道の始まりに過ぎない。数週間後に迫るプレシーズンテストへ意識を切り替える。そこでは、さらに多くを学ぶ機会が得られるはずだ」
規定上、キャデラックは200kmに制限され、タイヤもテストやレースで使われるものとは異なるピレリの指定品を履く必要があった。だが金曜に重要だったのは、ルールの細部ではない。象徴性だった。濡れたシルバーストンで、フェンス越しの視線を背に、カメラを塞ぐステッカーの下で、キャデラックは期待を現実へ変えた。F1の未来は、少しだけ大きな音を立て始めた。
The first lap of something bigger. pic.twitter.com/QCOcF7RoGt
— Cadillac Formula 1 Team (@Cadillac_F1) January 16, 2026
