2026年のF1エンジンを巡る不穏な駆け引きに対してFIAが介入し、1周も走らないうちから競争序列を左右しかねない“抜け穴”の存在を精査する構えとなった。
バルセロナでのプレシーズンテストが迫る中、FIAは技術専門家を緊急招集した。焦点は、新パワーユニット規則を各チームがどう解釈しているのか、そしてメルセデスとレッドブル・フォードの2社が、すでに規則を“曲げる”道筋を見いだした可能性があるのか、という点だ。
争点の中心はエンジンの圧縮比だ。規則は圧縮比を16:1に抑えると広く理解されているが、メルセデスとレッドブルは文言を大胆かつ危うい形で解釈したと報じられている。常温では規定上限を満たす設計にしつつ、気温やPUの温度が上がった局面で圧縮比が上限を越えるような挙動を許容する、という発想だ。
成功すれば見返りは大きい。パワー増、燃費改善、そして新規則下で決定的になり得る先行優位が手に入る。しかしリスクも同じくらい苛烈だ。FIAのシングルシーター部門責任者ニコラス・トンバジスは、この方向性が規則の精神に反すると判断されれば破滅的だと警告している。
当初FIAは、メルセデスの規則解釈を容認しているように見えたという。だがアウディ、フェラーリ、ホンダが共同で明確化を求め、抜け穴が新時代の優位を固定化しかねないとして懸念を示したことで、空気が変わった。
開幕戦オーストラリアGPで抗議が噴き出すのを待つのではなく、FIAはいま先回りの対応に踏み切った。1月22日、バルセロナ=カタルーニャ・サーキットでテストが始まるわずか4日前に会合が開かれ、技術専門家が解釈のすり合わせを試みる。FIAは声明で次のように述べた。
「新しい規則の導入では慣例として、2026年仕様(パワーユニットとシャシー)を対象とした議論が継続している」
「1月22日に予定される会合は技術専門家同士のものだ。FIAは常に状況を評価し、全参加者の間で規則が同じ形で理解され、同じ形で適用されることを確実にする」
