
メルセデスの2025年は、順位が大きく動き、内容は堅実だが限界も明確にみえた年となった。コンストラクターズは2位(469点)で、2024年の4位(468点)から一気に改善したが、点数はほぼ同じで、上昇したというより取りこぼさなかったレースを積み上げた年だった。
体制・資本面では、チーム評価額が約60億ドルと報じられるなか、トト・ヴォルフが保有持分の一部をクラウドストライクCEOのジョージ・カーツに売却し、共同オーナーに迎えた。既存の「メルセデス/INEOS/ヴォルフ」の枠にカーツが加わる形で、統治は維持しつつ資本の流動性を高めたのがトピックだ。
ドライバー面は明快で、ラッセルが4位319点、2勝(カナダ、シンガポール)+表彰台9回で“エース役”を成立させた。一方、ハミルトン離脱後のルーキー、アンドレア・キミ・アントネッリは7位150点で表彰台3回(最高2位)を確保し、波は大きいが戦力化に成功した。
ハイライトは、カナダでのラッセル完勝と、同レースでのアントネッリ初表彰台(3位)である。シンガポールはラッセルがポール・トゥ・ウィンで2勝目、アントネッリも5位にまとめ、週末運用の精度が際立った。終盤はブラジルでアントネッリが2位、ラスベガスでも表彰台を積み、2台目が点を持ち帰る状況に戻ったのが大きい。アントネッリがラッセルを上回ったレースは3戦のみで、ラッセルの強さと経験が浮き彫りとなった。
ただし、最悪局面もはっきりしている。モナコの予選失速は、速さ以前に週末の組み立てが崩れた典型で、タイトル争いを語れる土台には課題が残る。
