F1は来季2026年にも決勝で「2回ストップ(最低2回のタイヤ交換)」を義務化する案を再検討しているとされ、ブラジルGP週末で話題に挙がった。だが、今年2025年のモナコGPで試験導入した際はオーバーテイク増加に結びつかず、効果に疑問符が付いた経緯があるため、是非を巡って見解は割れている。

ドライバー側は賛否が分かれる。ルイス・ハミルトンは、モナコGPでの2回ストップ義務化について「退屈な展開を避けられる」と肯定的に評価していた。シャルル・ルクレールもモナコについては、「日曜のレースにスパイスを加える」と支持を表明していた。マックス・フェルスタッペンは、ピレリが超軟質の新コンパウンド(C6)を持ち込むよりも、「強制的に2回ストップにした方がましだと」コメントしつつも、「人工的な介入は逆効果になり得る」と警戒を示し、一方で一部からは戦略の幅が広がる可能性を評価する声もある。総じてレースの「面白さ」を規則で生む発想には慎重論が根強い。

パドックの反応も一枚岩ではなく、多くのチーム代表は義務化に冷ややかであり、このアイディアがショーの質向上の近道ではないとする見立てが強い。タイヤサプライヤーのピレリは議論自体には前向きだが、コンパウンド選択の自由度など実務面の検討が不可欠と釘を刺している。さらにF1は今季カタールGPで最大スティント周回数の制限(実質2回以上のストップを促す措置)を再導入する可能性も協議しており、短期対応と長期制度設計を並行して探る段階にある。