FIAが今季屈指の論争に終止符を打った。セッション中に赤旗が出た際、「赤旗提示後にコントロールラインを通過して完了した周回は一切カウントしない」その方針を、2026年に向けた追加規則変更として正式に確認した。赤旗中断時の曖昧さを消し去る狙いだ。

発端はエミリア・ロマーニャGPの混乱だった。いつの周回が「有効」なのか、「無効」なのか。判定の迷いが予選進行を止め、パドック全体を巻き込む激論に発展した。

火種となったのはイモラ。オリバー・ベアマンはQ2進出を決めたように見えたが、ハースに対して「赤旗条件下で完了した周回」と通告され、当該ラップは抹消された。余波は即座に広がり、予選は約25分遅延。各チームとレースコントロールの応酬、そして計時判断の瞬間はどう決定されるのか、という不都合な問いが突きつけられた。

オンボード映像では、ベアマンがチェッカーラインを越えた後に赤旗を認識したようにも見えた。一方FIAは、最初の赤旗シグナルは3秒前に提示されていたと後に確認した。この一件はグレーゾーンを露呈させた。しかもF1は2026年に大規模なレギュレーション刷新を控えている。曖昧さは、今ここで断ち切る必要があった。

再発防止のため、FIAは国際スポーティングコードに新条項を追加し、裁量の余地を規則から排除した。整理されたルールは単純明快だ。赤旗が最初に提示された後に完了した周回は、自動的に無効。ドライバーが何を見ていたか、タイミング表示がどう見えたかは関係ない。

FIAは声明を次のように示した。

「赤旗が提示された後に自動車がコントロールラインを横切って周回を完了した場合:(a) そのラップタイムは有効とみなさない。(b) 最初の提示時刻は、公式計時システムにより決定する。もしくは、当該システムが利用できない、または同期していない場合、レースディレクターまたはクラーク・オブ・ザ・コース(競技長)とチーフタイムキーパーが共同で確認した時刻とする。(c) それでも最初の赤旗提示後にラップタイムが記録された場合、スチュワードはそのラップタイムを削除する」

さらに、この規定が例外なく適用される範囲も明記した。

「この規定は、すべてのフリー走行、予選、決勝レースに適用される」