アンドレア・キミ・アントネッリは、モンツァでの話し合いが自信を取り戻す大きな転機になったと明かした。ルーキーイヤーのヨーロッパラウンドで深刻な不振に陥り、「もう二度と軌道に戻れないのではないか」と感じるほど追い込まれていたという。
シーズン序盤、アントネッリの滑り出しは悪くなかった。マイアミではスプリントで初のポールを獲得し、勢いを示した。だが、そこから流れは変わった。チームが投入したアップデートと時期を同じくして下降線に入り、2台とも苦しむ展開になった。
経験の浅いアントネッリにとって、その影響はジョージ・ラッセル以上に重かった。特に“勝手知ったるはず”のヨーロッパのサーキットで歯車が狂った。ヨーロッパ8戦でポイントを獲得できたのは2レースだけ。その間にカナダで表彰台を挟んだものの、長い低迷が自信を削っていった。
悪循環を断ち切るため、アントネッリはモンツァでトト・ヴォルフ代表、そしてピーター・ボニングトンと腰を据えて話し合った。会談と、アップデートの“巻き戻し”が即座に結果を生み、アントネッリだけでなくラッセルにも好影響をもたらした。新人が必要としていた手応えが、そこで戻ってきた。
「そうだね、確かにモンツァのことだけど、間違いなくヨーロッパシーズンの間ずっとだった。カナダまでは本当に強い、すごく強いスタートを切れていたから」
「シーズン前半はすごく良かった。もちろん期待もどんどん上がっていった」
「でもヨーロッパシーズンに入ったら、全部が崩れていく感じがして、何もかもがうまくいっていないように感じた」
「メルセデスとしても当時はP2を争っていて、ポイントを落としていた。そうなるとチームも少しずつプレッシャーをかけ始める。いろいろ積み重なっていった。でも普通のことだ。そういうものだ」
「そして本当に違いを生んだのは、モンツァの後にボノとトトとやったミーティングだった。それがリセットする助けになって、前半の自分の状態に戻ることを本気で狙えるようになった。もちろん、状況には満足していなかった」
「でも僕は結果のことばかり考えすぎて、イライラがどんどん増していった」
「チームの期待に応えようともしていた。でもそれが雪だるま式に悪化していって、どこにも進めていない気がしていた」
「モンツァの後でリセットできて、今はいい流れが来ている」
アントネッリは、このスランプが2025年の残りだけでなく将来にもつながる強さになったと捉えている。特に2026年は「ルーキーだから」という言い訳が通用しない年になるだけに、今季の経験は重い意味を持つ。
苦しい時期には自己不信もあった。それでも彼は年末にかけて、それを自信へと変えた。ドライバーズランキング6位には6ポイント届かなかったが、150ポイントを積み上げ、表彰台を3回獲得した。
「間違いなく今年はすごく大きかった。僕にとってはとてつもない学びの曲線だった」
「メルセデスでの初年度に入れたのは、ものすごいチャンスだった。もちろん注目もプレッシャーも大きかった。でもそれが僕をもっと早く成長させたと思う」
「このシーズンは良い時も悪い時もあった。特に長くて厳しい時期があった」
「でもそれを乗り越えられたことで、僕は強くなれた。それは僕にとって小さな勝利みたいなものだった」
「ヨーロッパのあの時期は、僕は自分自身を疑い始めていたし、そこから抜け出せないかもしれないと怖くなっていた」
「でもバクー以降はいい流れに乗れている。楽しかった。だから本当に嬉しい」
「シーズン自体にも満足している。でも一番は、僕がどれだけ成長して、人としてどれだけ成熟できたかが嬉しい」
「来年は、もっと準備ができていて、状況をもっとコントロールできるようになるはずだ」
