ランド・ノリスとオスカー・ピアストリが、チームメイトとして、ライバルとして互いに抱く敬意を語った。過酷なタイトル争いのシーズンを戦い抜いた直後だからこそ、その言葉は重みを持って響いた。

マクラーレンでコンビを組んで3年目。ノリスとピアストリは、グリッド上の誰よりも互いを理解している存在になりつつある。ノリスはこれまでカルロス・サインツやダニエル・リカルドらとも深い関係を築いてきた。今もサインツとは親友同士だ。マックス・フェルスタッペン、ジョージ・ラッセル、アレクサンダー・アルボン、シャルル・ルクレールらとも良好な関係を保っているという。その上で、今季タイトルを争ったピアストリにも、変わらぬ賛辞を送った。

ノリスが特に挙げたのは、ピアストリの落ち着きだった。感情が渦巻く王座争いの最中でも、涼しい顔で状況を受け止める姿勢に、憧れを抱いていると明かした。

「選ぶのが難しいくらいだ。彼について僕が好きなのは、何事にも向き合う姿勢、あの全体的な態度だ。いつも……数週間前にも言ったけど、どんな状況でもかなり冷静で、かなりリラックスしていて、クールさを保っている。」
「それは僕が尊敬しているところだし、時々は僕ももう少し彼みたいになれたらと思うことがある。でもまあ、みんなそれぞれだ。自分にとって一番うまくいくものを常に探している。」
「それでも、どのドライバーからも学べることはある。僕が子どもの頃だって、尊敬する部分もあれば、好きじゃない部分もあったりした。結局いちばん大事なのは、個人的にうまくやっていけるかどうかだと思う。」
「僕はこれまでチームメイトとずっと仲良くやってきた。仲良くない状態にするのは簡単だ。たった一つの判断で、すべてを台無しにできる。だけど僕たちは、そこをうまくやってきたと思う。」
「ただ、チームとしては難しくもなる。1人じゃなく2人のドライバーがチャンピオン争いをしているわけだから、当然ややこしさもあるし、難しい局面もある。他の連中が“会話に入ってくる”機会も増える。」
「それでも、僕たちは2人とも上にいることを嬉しく思っている。僕たちがどう協力してきたか、互いをどう扱ってきたか――コースの上でも、コースの外でも――それは物事への向き合い方として良い形だと思う。もちろん、全員が賛成するわけじゃない。それはそれで理解できる。」
「でも僕たちは、コースでは自分の速さを証明して、どっちが上かを示したいという点で似たアプローチを持っている。一方でヘルメットを脱いだら人生を楽しむ。人としての僕たち、性格としての僕たちに戻る。その点を僕はすごく尊敬しているし、心地いいとも感じている。10年後に振り返っても、僕はきっと同じことを言っていると思う。」

一方、ピアストリにとってF1での唯一のチームメイトがノリスだ。アルピーヌの育成ドライバー時代にはピエール・ガスリーやエステバン・オコンらと時間を共にしたが、F1で同じ車を分け合う相手はノリスだけ。そのピアストリもまた、ノリスへの信頼を言葉にした。

「コース上で起きたことはコース上に置いて、コース外では友好的でいられる。それができるのはいいことだと思う。」
「そうならないのは本当に簡単だし、それを成り立たせるには双方の協力が必要だ。だから、僕にとってはそこが……。『尊敬している(admire)』って言葉はチームメイトには少し強いけど、あれはランドのとても良い強みだと思う。」