フォーミュラ1は75周年を迎えた2025年シーズンにおいて、再び数々の記録を打ち立て、観客動員、商業面、デジタルマーケティングの成果を公表した。


成長とファン層の変化

世界のファン数は「8億2,700万人」に達し、前年比12%増、2018年比では63%増となった。これは年間スポーツシリーズとして世界最大規模であり、2番目に大きいNBAよりも11.4%多い。(Nielsen Sportsによる推計~「自分はファンだと答える層(claimed fans)+ 実際の行動がある層(active consumers)をファンとして推計)

ファン層の若年化も顕著で、全体の43%が35歳未満となった。35歳未満のファンは前年比で5,100万人増加し、新規ファンの57%を占めている。女性ファンは全体の42%に達し、2018年の37%から大きく増加。女性ファンは前年比で4,300万人増え、新規ファンの48%が女性だった。

地域別でも成長は続き、ヨーロッパは1億1,540万人、イギリスは1,670万人、中国は2億2,110万人、インドは7,880万人のファンを抱えている。


アメリカ市場の拡大

アメリカでは3つの個性的なグランプリ開催を背景に、力強い成長が続いている。

ファン数は5,200万人に達し、前年比11%増となった。シーズンを通したレースのライブ視聴者数は2024年平均比で21%増加。アメリカはYouTube視聴数(1億7,100万回)とSNSフォロワー数(630万人)で最大のF1市場となり、SNSフォロワーは前年比17%増だった。


F1 ザ・ムービーの成功

6月末に世界公開された『F1 ザ・ムービー』は、映画興行でも歴史的成功を収めた。

全世界興行収入は6億3,000万ドルを突破し、史上最高のスポーツ映画となった。ブラッド・ピット主演作としても過去最大のオープニング週末を記録し、彼のキャリアで最も興行的に成功した作品となった。

アメリカとカナダを除く78市場、4万4,000以上のスクリーンで上映され、撮影は14のグランプリで185時間以上行われた。F1中継映像は2,000時間以上が使用され、制作には1,900人のクルーが関与。各レースには約400人が帯同した。

12月12日にApple TVで世界配信が開始されると、同プラットフォームで初登場1位を記録し、劇場公開作品としては過去最大の配信開始週末となった。


観客動員の記録更新

2025年はサーキット来場者数でも歴史的な年となった。

シーズン総観客数は670万人で、過去最多を記録。2024年(650万人)、2023年(600万人)、2022年(570万人)、2019年(420万人)を上回った。24戦中19大会が完全完売し、11大会で新記録を樹立。オーストラリア(46万5,000人)とイギリス(50万人)を含む4大会が40万人超を動員した。


ソーシャル・デジタル分野

F1は5年連続で世界最速成長のスポーツリーグとなり、SNSでの総エンゲージメントは23億回を超えた。NBA、UEFAチャンピオンズリーグ、NFL、プレミアリーグを上回る数値だ。

SNS総フォロワー数は1億1,450万人に達し、前年比19%増。2018年の1,870万人から飛躍的に拡大した。プラットフォーム別ではTikTokが91%増、YouTubeが53%増、Facebookが51%増、Instagramが25%増、Xは1%増だった。中国系プラットフォームでも35%の成長を記録している。


テレビ視聴とスプリントレース

2025年のテレビ視聴者数は堅調に増加し、週末平均視聴者数は約7,000万人となった。ベルギーGPはシーズン最多となる8,000万人超を集め、スプリントイベントの人気を裏付けた。

スプリントレースについては、ファンの78%が「今後も継続すべき」と回答。スプリント週末は通常週末よりSNS言及数が8%、リーチが4%多かった。


ラスベガスGPの成功

ラスベガスGPは30万人超を動員し完売。SNSでは4億5,000万回以上の動画再生と6,000万件以上のオンライン反応を記録した。1,200人以上のクリエイターが参加し、18億インプレッションと5,000件の投稿を生み出した。

レース週には4万3,000本以上の記事が配信され、VIP向けには44のプライベートスイートと5つの共有スイートを備えたパドッククラブが用意された。F1とリバティ・メディアはF1ビジネスサミットも開催し、スポーツとエンターテインメント、文化の融合を強く印象づけた。