レッドブルF1の長年の参謀ヘルムート・マルコが、今季限りでモータースポーツ・アドバイザー職を退く。82歳のオーストリア人は、レッドブルがF1に参戦した2005年から約20年にわたりチームに影響力を持ち、セバスチャン・ベッテルとマックス・フェルスタッペンという二人の4度の王者を育て上げた。
ヘルムート・マルコは元レーシングドライバーで実業家、法学博士、弁護士。1970~72年はドライバーとしてル・マンに参戦し総合3位に入賞、クラス1位も経験している。F1には1971年と72年の合計10戦に参戦。他のマシンが跳ね上げた石が、バイザーを突き抜けて目に当たった事故により視力が低下し、ドライバーキャリアは終了した。引退後はゲルハルト・ベルガー、カール・ヴェンドリンガーのマネージャーとしてF1に関わり、その後設立したF3とF3000のチーム、”RSMマルコ”が”レッドブル・ジュニアチーム”に繋がった。
声明の中でマルコは、2025年シーズン最終戦まで続いた激しいタイトル争いに触れ、「僅差で王座を逃したことが、非常に長く激しい章を終えるべき時だとはっきり気付かせた」と述べ、自らの決断で退くことを強調した。
マルコは、トロ・ロッソ/アルファタウリ/レーシング・ブルズへと名称を変えてきたセカンドチームを含め、レッドブルのドライバー育成プログラム全体を統括し、角田裕毅を含む多くの若手ドライバーをF1に送り込んできた。ベッテルとフェルスタッペンはその筆頭で、レッドブルは彼の下で複数のコンストラクターズ、ドライバーズタイトルを積み上げた。自チームの状況や他のドライバーの評論などの発信源として知られてきた一方、率直すぎる物言いで物議を醸すことも多く、近年は差別的と受け止められた発言への謝罪や、レッドブル内部抗争の一角、早急なドライバー交代の判断を担っているとの報道も相次いでいた。
昨年のアドリアン・ニューウェイ離脱、今季途中のクリスチャン・ホーナー解任に続くマルコ退任は、レッドブル黄金期を形作った創業メンバーがほぼ姿を消すことを意味する。後任ポストをあえて設けず育成体制そのものを再編する案も取り沙汰されており、2026年からの自社PU参戦を前に、チームは体制刷新という大きな賭けに出たかたちだ。
