アブダビGP決勝は、今季タイトル争いの締めくくりとしてふさわしい緊張感に包まれた一戦となった。レッドブルのマックス・フェルスタッペンがレースを制し、勝利は4度の王者の手に渡りシーズン8勝を記録したが、3位でフィニッシュしたランド・ノリスが、初のF1ワールドチャンピオンに輝いた。シーズン最終戦までもつれ込んだ接戦は、この日ついに決着した。
ノリスはこのレースを前に、ドライバーズランキングで12ポイントのリードを築いていた。決勝では無理なリスクを避けつつも、タイトルを取りに行くにふさわしい堅実な走りを貫き、表彰台圏内を確実にキープした。結果として、この3位というフィニッシュが決定打となり、追いすがるライバルの逆転を許さなかった。最終戦でポイント差をきっちり守り切ったことは、シーズンを通じた安定感の象徴だったと言える。

表彰台上のノリスは、涙をこらえきれない表情を見せた。長年ともに戦ってきたマクラーレンのスタッフ、デビュー前から支えてきた家族や関係者への感謝を繰り返し口にし、「長い旅路だった」と2025年シーズンを振り返った姿は、若きチャンピオンの物語として観る者の胸を打つものだった。
マクラーレンにとっても、このタイトルは特別な意味を持つ。長く王座から遠ざかっていた名門チームが、ようやくドライバーズタイトルを取り戻したことは、過去の栄光を背負うチームから、再びトップ争いに戻ったことを示す証左だ。フェルスタッペンの勝利とノリスの戴冠という対照的な結果が同時に成立したアブダビ決勝は、新旧チャンピオンが交錯する象徴的な一日で2025年のシーズンを締めくくった。
