シーズン最終戦アブダビGPの金曜フリー走行は、ランド・ノリスの独壇場だった。マクラーレン勢のノリスはFP1、FP2の両セッションで最速タイムを記録し、タイトル行方を左右する週末の初日に主導権を握った形となった。
特に気温と路面状況が決勝に近いFP2では、その優位がより鮮明になった。ノリスはレッドブルのマックス・フェルスタッペンに対して約0.3〜0.4秒の差をつけてトップに立ち、単発の一発タイムだけでなく、ロングランの仕上がりの良さも印象づけた。
一方で、同じマクラーレンのオスカー・ピアストリはFP2で11番手と沈み、チーム内でも仕上がりに明確な差が出ている。セットアップの方向性やタイヤの扱いでノリスが一歩先行しており、マクラーレンとしてもタイトル争いの軸をどこに置くのかという現実的な判断を迫られる展開だ。
追う立場のフェルスタッペンは、金曜時点でマクラーレンの速さを率直に認めている。ノリスに連敗している状況を踏まえ、「単純にもっと速くならないといけない」と語り、現状のパッケージでは足りていないことを認めた。レッドブル陣営も、守りの微調整ではなく、攻めのセットアップ変更が必要だとの見解で一致しており、土曜以降に大きな方向転換を図る可能性が高い。
タイトル決戦の週末は、初日の時点で「マクラーレン優勢・レッドブル追撃」という構図が明確になった。ノリスがこのリードを予選・決勝まで維持できるのか、それともフェルスタッペンが一夜にして巻き返すのか。金曜のタイムシートは、最終決戦の緊張感を一段と高める内容となった。

