パート1:ジョージ・ラッセル、イサック・ハジャー、シャルル・ルクレール
Q: シャルル、あなたとフェラーリにとって、前戦カタールは非常に厳しい週末だった。レース後のデブリーフを終えた今、問題の原因について前より理解は進んだだろうか。
シャルル・ルクレール:試してみるべきだったことについては、いくつかアイデアがあるんだ。でも、それが本当に解決策だったかどうかはまた別の話だ。だから、100%の答えを持っているわけではないけれど、その週末に僕たちが試さなかったことについてはいくつか考えがある。明らかに僕たちは週末を通して何かを間違えていた。FP1から決勝レースまで一度も強さを見せられなかったからね。だから、アイデアはいくつかある。ただ、それが明確な解決策かと言われると、そうだとは言えないと思う。
Q: あの問題はサーキット特有のものだと思うか。それともここアブダビでも再発する可能性があるだろうか。
シャルル・ルクレール:いや、確かに、カタールが僕たちにとって強くなれるはずのないサーキットだったということが、問題を一層際立たせたのは事実だ。でも、たとえあのコース特性が僕たちに合っていなかったとしても、本来発揮すべきパフォーマンスを出せていなかったのも事実だ。もっと良い結果を出すべきだった。
ただ今週末については、本来いるべき場所には戻れると思っている。おそらく3番手のチーム、そのあたりだと考えている。
Q: 今回が今シーズン最後の木曜会見だ。2025年シーズン全体を振り返って、個人的にも、そしてフェラーリとしても、どのようなシーズンだったと感じているか教えてほしい。
シャルル・ルクレール:個人的には、かなり満足している。自分としては強いシーズンだったと思う。毎年、前年から何かしら改善しようとするものだけど、今年もそれを目指して取り組んできたし、その点についての手応えはある。
残念なのは、パフォーマンス面が本来あるべきレベルに達していないことだ。結果面、そして僕たちが示せたパフォーマンスという意味では満足していない。特に昨年の終盤を強い形で終えたあとだけに、期待値はまったく違うところにあったからね。
それでも、開幕戦から最終戦まで、状況をひっくり返そうとチームとしてよくリアクトできていたと思う。簡単ではなかった。というのも、僕たちは主に2026年にフォーカスしていて、マシンに投入できるアップグレードはそれほど多くなかったからだ。とはいえ、サーキットでのチームの働きぶりという点では、良いパフォーマンスを発揮できたと思う。最終的に足りなかったのは、マシンそのもののパフォーマンスだ。その部分については、来年もっと良くなってくれることを願っている。
Q: 最後の質問だ。今週末はいよいよタイトル決戦だ。日曜の夜にワールドチャンピオンになっているのは誰だと思うか。
シャルル・ルクレール:分からないね。今年は何度も考えが変わった。最初はオスカーだと思っていたし、そのあとマックスだと思った時期もあったし、もう分からなくなったよ。今はおそらくランドだと思っている。12ポイント差というのは、まだ十分に大きい差だ。だから、ランドに何か大きなトラブルが起きない限りは、ランドがタイトルを取ると思う。
Q: イサック、次はあなたに聞きたい。まずは新しい仕事、おめでとう。キャリアにとって大きな瞬間だ。レッドブル・レーシングのレースシート獲得は、あなたにとってどんな意味を持つのか。
イサック・ハジャー:間違いなく、僕のキャリアにとってすごく大きな瞬間だ。何年も積み重ねてきたハードワークが、今こうして報われた形になっている。ただ、これは新しい旅の始まりにすぎないとも思っている。だから、とてもワクワクしているし、同時にF1の新しい時代に足を踏み入れることにもなる。タイミングとしても、とても良いと思っている。
Q: その知らせを聞いた瞬間について教えてほしい。誰から、どんなふうに知らされたのか。
イサック・ハジャー:そうだね、よくあるような「すごくクールな電話」があったわけじゃないんだ。電話に出たらいきなり『君はレッドブル・レーシングのドライバーだよ』って言われる、みたいなやつね。現実はそんな感じじゃなかった。
Q: では、実際にはどうだったのか。
ジョージ・ラッセル:伝書バトで手紙が届いたんだよ。
イサック・ハジャー:ハハ! 実際には、ヘルムートとの会話だった。彼との話のなかで、僕がレッドブルで走ること、そして結果を出さなければならないことを理解させられた。それだけだよ。
Q: では、来年「結果を出す」ことについて話そう。自分自身にどんな期待を持っているか。
イサック・ハジャー:正直、僕は自分に対して何の期待値も置かないようにしている。というのも、2026年からはみんながゼロからのスタートになるからだ。だから、やるべき仕事をひたすらやるだけだと思っている。今は、とにかく1月、2月が待ち遠しい。チームと一緒に仕事を始めて、すべてのスタッフを知っていくことになる。その時期にどれだけ先行できるかが、すごく重要になると思っている。
Q: 最後にもう一つ。日曜のタイトル決戦についてだが、誰がチャンピオンになると思うか。
イサック・ハジャー:ランドだ。
Q: OK、ありがとう。今週末の健闘を祈る。ではジョージ、メルセデスとして、このアブダビのシーズン最終戦をどう捉えているか。
ジョージ・ラッセル:正直に言えば、またひとつのレースという感覚だ。もちろん、コンストラクターズ選手権で2位を確保したい。カタールで決められなかったのは残念だったけれど、今週末はとても良いチャンスがある。だから、シーズン最後のレースをしっかり楽しみたいと思っている。
Q: カタールでのあなたたちの競争力についてだが、実力どおりの速さを発揮できていたのか。それとも、トラフィックの中にいたことで実力が隠れてしまったのか。
ジョージ・ラッセル:そうだね、イサックのおかげで、僕はかなり長い周回をトラフィックの中で走ることになったよ。冗談はさておき、残念ながら僕たちはすごく競争力があったと思っている。実際、本当に僕たちより速かったのはオスカーだけだったと思う。
通常、9回 out of 10、つまり十中八九、マシンがとても競争力を持っていれば、結果も自然についてくる。だけど今回は、その残りの1回の方だった。つまり、速いマシンがあっても、物事が思いどおりに進まない方のパターンだったんだ。
7周目のセーフティカーもそうだし、イン側スタートだったことも影響した。最初の4列でイン側からスタートしたドライバーは、全員が少なくとも1ポジションは落としていたと思う。それが週末全体を難しくしてしまった。
Q: ドライバーズ選手権についてだが、あなたは今シーズン4位で終えることになる。これは2022年と同じ順位だ。2022年シーズンと2025年シーズン、自分にとってどちらの方が良いシーズンだったと思うか。
ジョージ・ラッセル:どちらのシーズンも、とても強い年だったと言えると思う。ただ、今年については、間違いなく僕のキャリアの中で最も競争力の高いシーズンだった。2022年は本当に大変だった。初めてポーポイズ現象を経験し、チームとしてさまざまな課題に直面していたし、同時に僕にとってはルイスとの初めてのシーズンでもあったからね。
でも、そうしたことを踏まえても、今年は本当に強いシーズンだったと感じている。
Q: 最後の質問です。ワールドチャンピオンは? やはりランド?
ジョージ・ラッセル:ランドだ。
フロアからの質問
Q:(クレイグ・スレーター/Sky Sports)ジョージに質問だ。あなたはランドを追いかける立場だ。もちろんポイント差は僅差で、世界中が今週末F1に注目することになる。もしランドがタイトルを獲るために、チームオーダーが必要になるような状況になった場合、それは問題だと思うか? たとえば、オスカー・ピアストリが2番手で、しかもかなり離れていてタイトルの可能性がない場合に、チームのためにタイトルを獲らせるべく、2位を譲るよう彼に求める、というような話について、どこまでなら許容できると思うか?
ジョージ・ラッセル:僕としては、シーズン最終戦で、まだタイトルの可能性が残っているドライバーに「チームメイトのためにポジションを譲れ」と求めるのは、妥当でも合理的でもないと思う。
もし、別のシーズンの例を出すなら――たとえばチェコとマックス、あるいはバリチェロとシューマッハのように――明らかに「タイトルを争っているのはこのドライバーだ」という状況で、最終戦にタイトル争いをしていない側のドライバーが前を譲るというのは、まったく筋が通っていると思うし、どのドライバーもそうするはずだと思う。
だが僕の感覚では、今回それを「フェアだ」とはとても言えない。2人とも同じようにチャンスを与えられるべきだと思うし、もしそれでタイトルを逃したとしても、「もう一人の方がより良い仕事をした」というだけの話だと言うしかない。それがレースだし、本来そうあるべきだと思う。
Q:(マラ・サンジョルジョ/Sky Sport Italy)3人全員に質問だ。数字上の話として、このタイトル争いの中で重要な役割を果たせるだけのクルマを、自分たちは持っていると思うか? シャルルからお願いする。
シャルル・ルクレール:正直、この週末どれだけ競争力があるかはまだ分からない。少なくとも僕たちとしては、ここではマクラーレンが非常に強いだろうと予想している。その次にレッドブル、そしてメルセデスと僕たち、という順番だと思う。
どこかのタイミングで、マクラーレン同士、あるいはレッドブルと僕たちとの間で、何らかの絡みが起きる可能性は十分あると思う。でも僕は、そのことについて頭を悩ませるためにここにいるわけではない。僕がやるべきことは、自分のレースを最大限うまくまとめることだけだし、タイトルを獲るのは彼らの仕事だ。誰がワールドチャンピオンになるにしても、それは彼らがやるべきことだ。僕のレース中の思考の中に、そのタイトル争いが入り込んでくることはないだろう。
Q: アイザックは?
イサック・ハジャー:正直に言うと、僕は今週末、ここにいる2人とレースをするような位置にはいないと思う。ここはより「伝統的な」タイプのサーキットだし、クルマの力関係については、さっきシャルルが言ったランキングが妥当だと思う。
だから、彼らのタイトル争いをかき乱す位置には僕たちはいないはずだ。
Q: ジョージは?
ジョージ・ラッセル:マクラーレンは、ここ数年このサーキットですごく強かったと思う。ここ数年はポールを取り、レースにも勝っている。一方で、ここは僕たちにとって得意なサーキットではなかった。
ただ、もし僕たちが前方争いに絡める状況になったとしても、それは正直、僕たちの問題ではない。僕たちは、ただ自分たちのベストなレースをするために走るだけだ。
僕が他のレース以上にリスクを取ることも、逆に抑えることもない。僕にとっては24戦のうちの1戦であり、たまたま今季最後のレースではあるけれど、どのレースも同じように扱っている。
Q:(ネルソン・ファルケンブルグ/Viaplay)アイザックに。君は「結果を出す必要がある」と言われたと話していた。レッドブルは君にそう伝えたのだろう。マックス・フェルスタッペンのチームメイトとして、歴史的に難しいと言われてきたマシンで結果を出すというのは、どうやって実現するつもりか? どんな計画やマインドセットでマックスの隣に並ぶのか、そしてどこまで行ければ、自分として満足だと言えるのか?
イサック・ハジャー:まず、その前提は正しくない。来年はこれまでと同じクルマではまったくない。そこがまず重要な点だ。
僕たちは、与えられたマシンで戦うことになるし、チームはそのクルマを作り上げていく。僕はそのクルマに合わせていかなければならないし、マックスも同じように仕事をしなければならない。クルマがある方向へと開発されていくなら、その変化を感じ取る立場として、そこに僕もいて、理想を言えば僕自身もその変化に貢献したいと思っている。それが理想的なシナリオだ。
そして、僕はキャリアの中で同じことを繰り返したことが一度もない。毎年違うクルマで戦ってきたので、「全く同じことを2年続けてやる」という経験をしたことがない。だから、違うマシンに適応することにはそれなりに自信があるし、その点では自分は悪くないと思っている。だからこそ、かなり自信を持っている。
Q:(デビッド・クロフト/Sky Sports F1)もう一つアイザックに。新しい仕事、おめでとう。バルセロナでレーシング・ブルズのエンジニア数人と話したのだが、彼らは、レッドブルのドライバープログラムの中で、君がマックスに一番スタイルが近いドライバーだと評価していた。君自身、その点を分析したり考えたことはあるか? もしそれが事実だとしたら、マックスと君を組ませるのは「理にかなった組み合わせ」だと言えるのではないか? 新レギュレーション元年ということもあって、スタイルの似た2人のドライバーを揃えるのは合理的だと思うが。そして、いつ正式に「決まった」と知らされたのか、その日付も教えてほしい。
イサック・ハジャー:日付は教えられないけれど(笑)、かなり遅いタイミングだったと言っておくよ。たとえば「カタールGPの週」くらい、とだけ言っておく。
もしそれが来年のラインナップだとするなら、チームがその組み合わせを選んだのは意味があるからだと思うし、新レギュレーション元年ということで、僕にとってタイミング的にも非常に理想的だと思う。
スタイルについて言えば、もちろんマックスは非常にユニークで、彼ならではのスタイルを持っている。そして、僕自身もそうだと思っている。僕は、彼のやっていることを真似しようとしているわけではない。ただ、マインドセットという点では、共通するところがいくつかあると思う。それくらいだ。
Q:(デビッド・クロフト/Sky Sports F1)続けて聞きたい。マインドセットで共通している、というのは具体的にどういうところか?
イサック・ハジャー:僕がマックスを見ていて非常に印象的だと思うのは、4度のワールドチャンピオンになった今でも、ものすごくハングリーで、うまくいかないときには本気で怒っているところだ。彼は常に「勝ちたい」と思っている。
そういう姿勢を保てるチャンピオンは、そう多くないと思う。あるレベルを超えると、アプローチが少し緩くなってしまう人もいるかもしれないが、彼は今でも「飢えている」。僕と同じように、常に勝ちに飢えているように見える。それが本当にすごいところだ。
Q:(クリヤ・ガンガイア/SuperSport South Africa)レッドブルに加入することは、キャリアの大きなステップだ。まず、その中で一番ワクワクしていることは何か? そして、アフリカ系のルーツを持つドライバーとして、自分の大陸でグランプリが開催される可能性についてはどう感じているか?
イサック・ハジャー:ちょっと待って、最初の部分は何だったっけ?
Q:(クリヤ・ガンガイア/SuperSport South Africa)新しい章について、一番楽しみにしていることは何か?
イサック・ハジャー:正直に言うと、楽しみなことは2つある。まず、ワールドチャンピオンチームの一員になれること。子どもの頃、F1を見ていて、ベッテルがレッドブルでたくさんレースに勝つ姿をずっと見てきた。
そしてもう一つは、マックスのチームメイトとして、世界最高レベルと向き合うことがどんな感覚なのかを知ることだ。それは本当にワクワクする。
アフリカでのレースについては、いつか必ず開催されると思っている。時間はかかるだろうが、いずれ実現するはずだ。
Q:(スチュアート・コドリング/Autosport)ジョージに質問だ。カタールGPの前に、GPDA(ドライバー協会)とFIAの間でドライバーガイドラインに関するミーティングがあった。発表されたプレスリリースだけを見ると、「良い話し合いはしたが、何も変わらない」という印象だった。GPDAのディレクターとして、あの場でのドライバーたちの雰囲気や満足度、そしてあなた自身の意見を教えてほしい。
ジョージ・ラッセル:僕は、そのプレスリリース自体を読んでいないので、そこに何が書かれていたのかについてはコメントできない。ただ、「今シーズンの残りについては何も変更しない」という点については合意されていたと思うし、それは正しい判断だと思う。
僕たちは常に「一貫性」を求めてきた。今このタイミングでアプローチを変えるのはフェアではない。
ただ、全体としての共通認識は、「ガイドラインはあくまでガイドラインであるべきだ」というものだったと思う。僕たちは、レースで起きたさまざまなインシデントを判断する際に、最高の知識と経験を持つスチュワードに、その経験に基づいて裁定してほしいと思っている。
実際、20人のF1ドライバーを一つの部屋に集めて、6〜7件のインシデントをレビューしたとき、ガイドラインがどう書いてあるかに関係なく、「どのケースでどのペナルティが妥当か」については全員が同じ結論にたどり着いた。それははっきりしていた。
だから、これからも議論の続きが行われることを望んでいるし、2026年に向けて彼らがどう考えているのかを聞くのを楽しみにしている。
Q:(ニハリカ・ゴルパデ/Sportskeeda)シャルルとジョージに。もし日曜日、あなたたちがタイトル争いに絡むような状況になったとしたら、どういうスタンスでレースをするか? そのバトルの一部になりたいと思うか、それとも可能なら関わらずにいたいと思うか?
シャルル・ルクレール:僕としては、単純にレースに勝って、タイトル争いの行方とは何の関係もない形で終えられるのが一番だと思っている。そういう見方もある。
ただ、実際には自分が2位を争っていようが、3位、4位、どのポジションを争っていようが、後ろに誰がいるかに関係なく、同じように戦うつもりだ。なぜなら、僕はこの最終戦を最大限に生かしたいし、自分のチームのために戦っているからだ。
だから、タイトル争いについて何か考えることはない。僕は、後ろに誰がいようと、前に誰がいようと、同じように全力で戦い、自分たちの結果を最大化しようとするだけだ。
ジョージ・ラッセル:まったく同じ考えだ。
Q:(スコット・ミッチェル=マルム/The Race)ジョージとシャルルに質問だ。このレギュレーション期間全体を通して、あなた方のチームはレッドブルやマクラーレンと比べて「何を一番欠いていた」と思うか? そして、このレギュレーションでうまくいかなかったことを踏まえると、「来年こそは必ずうまくやれる」と自信を持ちきれない部分はあるか?
ジョージ・ラッセル:正直に言うと、このレギュレーションは非常に難しいものだったと思う。シーズン後半の今だけを見れば、レッドブルは非常に高いレベルにいた。
ただ、夏休みの時点でこの質問に答えていたら、僕たちはレッドブルと同じレベルにいる、と言っていたと思う。
それを2023年と比べれば、あの年はアストンマーティンが僕たちやフェラーリよりも前にいて、その後に失速していった。一方でマクラーレンは序盤はどこにもいないような状態から、そこから何か信じられないものを見つけて一気に上がってきた。
だから、「僕たちが何を外したのか」を一言で説明するのは難しい。おそらく、スタート地点の問題だったと思う。僕たちは最初に間違った方向に踏み出してしまい、自分たちをその道へと引き込んでしまった。その後、それを元に戻さなければならなかった。一方で、レッドブルは22年開幕時点でポーポイズ現象が最も少ないマシンを持っていて、僕たちがその問題の解決に追われている間に、彼らは6〜8か月分のアドバンテージを得たようなものだった。
だから、今のレギュレーションでの状況が、次のレギュレーションに影響するとはあまり思っていない。次のレギュレーションでは問題の性質そのものがまったく違うだろうからだ。
シャルル・ルクレール:僕も同意だ。僕たちの場合、「これだけが原因だ」と言えるような一つの理由はない。さまざまな要因が、タイミングによってそれぞれ影響した。
22年の序盤だけを見れば、僕たちはかなり強くスタートしていた。ただ、ポーポイズに苦しみ、レッドブルは非常に安定したプラットフォームを持っていた。彼らはかなり重量オーバーでもあったが、その重さを落とした瞬間、今のレベルに一気に到達した。
そして昨年について言えば、僕たちはかなり早い段階で「翌年のクルマ」に開発リソースを振り向ける決断をした。それが「正解」だったことを願っているが、その決断が、シーズン後半2/3の間に他チームよりも苦しむ一因になったのは確かだ。僕たちはアップグレードをあまり持ち込まなかったからだ。
ただ、全体として言えるのは、今回の世代のマシンはとても理解が難しいということだ。ファクトリーでシミュレーション上うまくいっているものが、実際にサーキットに持ち込むと、誰もが少なくとも一度は「事前の予想とまったく相関しない」という経験をしていると思う。そこが一番のチャレンジだった。
その中で、他のチーム――特にマクラーレンとレッドブル――は僕たちよりもうまくやってきたということだ。
Q:(アレハンドロ・アロンソ・ロペス/Diario Motor.com)シャルルに。シーズン全体としてはタフだったが、それでも誇れるシーズンだと言えるものだったと思う。ドライバーとして、自分自身について「来年に持ち越せる教訓」は何だと思うか?
シャルル・ルクレール:ドライバーとして言えば、F1に来たばかりの最初の数年は「何を改善すべきか」が非常に分かりやすかった。弱点が大きく、改善すべきポイントがはっきりしているからだ。僕の場合、最初の数年はレースマネジメントとタイヤマネジメントが最優先だった。
それを改善していくと、今度は細かいところの勝負になっていく。F1で積み重ねた経験が、細部をチューニングしていく助けになる。
だから、「来年に向けた一つの大きな教訓」というものがあるわけではない。むしろ、小さな学びがたくさんあって、それを頭に入れておき、少しずつ微調整しながら良くしていく、という感覚だ。
Q:(クマル・シャーム・モトワニ/Al Ittihad)アイザックに。ジュニアカテゴリー時代やアジアン選手権で、ヤス・マリーナ・サーキットを走った経験がある。そのときのコース知識は、F1にステップアップし、シーズンを良い形で締めくくろうとする今、どの程度のアドバンテージになると思うか?
イサック・ハジャー:アブダビは、おそらく僕がキャリアの中で一番多く走ったサーキットだと思う。本当にたくさんの周回をこなしてきた。
カレンダーの中で、F1マシンを経験したことがあるのは、メキシコを除けば、おそらくここだけだと思う。だから、今回は「覚えることがあまりない」と初めて感じられる週末かもしれない。
これまでもコースをよく知っていることはあったが、それは下位カテゴリーでの話で、F1にステップアップすると感覚はまったく違う。
ただ、今回は明らかに助けになるはずだ。でも、結局はフリープラクティスが3回あって、週末のかなり早い段階でみんな限界に到達する。そこからは微調整の世界になる。だから、多少のアドバンテージにはなるが、決定的なものではないと思う。
Q:(レオニード・クリュエフ/Grande Premio Brazil)3人全員に質問だ。キミ(アントネッリ)は、カタールの後にオンラインでの誹謗中傷の標的になってしまった。誰か彼と話す機会はあったか? そして、同じことが今後起こらないようにするには、どうすればいいと思うか?
ジョージ・ラッセル:正直に言って、起きたことや書き込まれた内容、オンラインでの中傷は、まったく受け入れがたい。すべてはレッドブル側のミスから始まり、もちろん彼らは謝罪した。それはいい。人は誰でも間違えるし、特に情報が完全に揃っていない状況ならなおさらだ。
ただ、キーボードの前にいる何千人もの人たちについては、言い訳の余地がない。自分の行動を本気で見つめ直し、「なぜそれが許されると思っているのか」を考える必要がある。
それはF1だけの問題ではなく、社会全体の問題だ。僕には本当に理解できない。だから、言えるのはそれだけだ。
イサック・ハジャー:僕はキミとは話していない。ただ、あれはあまりにも不公平だと思う。彼はレースで自分の全力を出し切って、4位だったと思うが、そのポジションでフィニッシュに持ち込もうとしていた。全力を尽くしている中でミスを犯してしまっただけなのに、その後あれだけのことをオンラインで言われるのは本当に不公平だ。
彼は全力でやっているのに、あたかも「わざとミスをした」かのように扱われてしまった。それは本当に良くない。
そして、さっきジョージも言ったように、キーボードの後ろに隠れている人たちは、正直「ただのバカ」だと思う。彼らはレースについて何も分かっていないし、自分でクルマを運転したことすらない人たちだ。だからこそ、ああいうコメントを平気で書けるのだと思う。
シャルル・ルクレール:僕から付け加えることはあまりない。ただ、あのような行為は受け入れられないということだ。
明らかに、彼らは自分の言葉やドライバーへのリスペクトの欠如について、何の代償も払わないで済んでいる。そこが問題だと思う。
僕たちは皆、絶対的なベストを尽くそうとしてここにいる。子どもの頃からずっとレースをしてきて、このポジションに立つことを夢見てきた。そして今、その夢を叶えるために限界まで攻めている。だから、ミスが起きることもある。
特に今回のケースでは、そもそも彼へのヘイトには何の意味もなかった。
僕はキミと話してはいないけれど、ああいう状況でできることは、目の前で起きていることをすべて無視することだけだ。ただ、それはものすごく難しい。特にF1に来て1年目や2年目の頃は、少なくとも僕の場合、ソーシャルメディアで自分について何が言われているのか、多少は見てしまっていた。
経験を積むにつれて、そういったものに慣れてはいく。でも、本来は「慣れなければならない」ようなことではないはずだ。いつか、ああした行為にきちんと対処できる仕組みができることを願っている。
Q:(ディレッタ・コロンボ/AutoMoto.it)シャルルに。あなたは先ほど、今季の比較的早い段階で空力開発を打ち切る決断について話していた。それによって、シーズンが進むにつれて技術的に不利になることを覚悟しなければならなかった。そうした状況は、メンタル面でどれほどの負担だったか?
シャルル・ルクレール:正直、それほど大きな負担ではなかった。というのも、僕たちは開幕戦からすでに技術的に不利な立場にあったからだ。シーズン途中から急に状況が変わったわけではない。
早い段階で、「自分たちはタイトル争いはできない」とかなりはっきり分かっていた。マクラーレンはあまりにも強かったし、レッドブルも大きく前進し始めていた。そういう状況で、コンストラクターズ選手権の2位か3位――うまくいって2位――を狙うためだけに、翌年のためのリソースを削る意味はほとんどなかった。
だから、もちろん気分の良い決断ではない。僕としては、シーズンを通して開発を続け、タイトルを狙いに行く方が100%良かった。でも、僕たちが今季の序盤に置かれていた状況を踏まえると、あの決断は「考えるまでもない選択」だったと思う。
だから、後悔はしていない。
パート2:マックス・フェルスタッペン、ランド・ノリス)、オスカー・ピアストリ
Q:タイトル争いを繰り広げてきた3人に来てもらった。日曜の夜、このうちの誰か1人が2025年のFIA F1ワールドチャンピオンになるわけだ。まずはこの質問から始めたい。最終戦に向けてどんな準備をし、どんなアプローチで臨むのか。ランド、君から聞かせてほしい。
ランド・ノリス:いつも通りだ。何も変わらない。
もちろん、毎週末と同じように前戦のレビューはした。何が起きて、僕たちにとって明らかに良くなかった点は何か、僕が犯したミスは何か、そして一見わかりにくい、改善できる細かい点はどこか、そういうことを振り返った。それはどのレース後もやっている、ごく普通の作業だ。次のレースに向けた理解と準備というだけだ。
でも、それ以外は何も変わらない。チームの誰にとっても、扱い方は同じだ。ただ同時に、みんなの中にいつもより少し高い高揚感がある、というだけだと思う。でも、それを除けば、仕事の進め方も、アプローチの仕方も、これまでとまったく同じだ。
Q: マックスはどうか。
マックス・フェルスタッペン:娘と時間を過ごしたし、来年のGT3のことを少し詰めた。シムチームの来年の計画についても色々考えた。だから、ここに来る前はかなりストレートフォワードな日々だったと言っていいと思う。
Q: オスカーは?
オスカー・ピアストリ:僕はGT3チームを立ち上げたりはしていないけど、パデルをやったりして、普通に過ごした。レース間があまり長くないからね。マーケティングデーもあって、それはそれで楽しかった。それくらいだ。
フロアからの質問
Q:(デビッド・クロフト/Sky Sports F1)質問の前に、3人全員に「日曜日の幸運を祈る」と言いたい。そして素晴らしいシーズンをありがとう。見ていて本当に楽しかったし、この場にいる全員を代表してそう言える。ベストドライバーが勝つべきだが、タイトルを獲れるのは1人だけだ。
この1年を振り返ったとき、「あの出来事でタイトルを取り逃がした」と思うような場面は何か。それぞれ1つずつ挙げてほしい。ポイントリーダーのランドから、次にマックス、最後にオスカーの順で聞きたい。
ランド・ノリス:シーズン中にはいつだって小さなことが積み重なっている。もちろん、自分の側にもっとわかりやすいものもいくつかある。カナダに戻るなら、あそこはまさに「両手を挙げて降参するしかない、完全に僕がやらかした」と言えるレースだった。かなり多くのポイントを落とした。
中国では予選で運がなかったレースもあったし、ほかにも小さなことがいくつかある。それはきっと誰にとっても同じだ。この3人全員にそういうものがあるはずだ。
それに、運が悪かったところもある。ザントフォールトでのリタイアもそうだし、あれは運ではなく、チームとして十分な仕事ができなかった結果だが、ラスベガスで失格になった件もそうだ。あれもかなりのポイントを失うことになった
だから「これが決定打だ」と言えるような1つの出来事があるわけではない。僕自身が「ここは本当に良い仕事ができなかった」と認めなければならない場面もあったし、チームとしても「ここはチームとして良い仕事ができなかった」と認めないといけないレースが、先週を含めていくつかあったということだ。それがすべてだと思う。
マックス・フェルスタッペン:最終的には、24戦のうちの1戦に過ぎない。うまくいくレースもあれば、そうでないレースもある。今季は多くのレースで勝利を争えるほどのペースがなかった。それでも、ここまで来た。
だから全体としては、僕らがやってきたシーズンを誇りに思っているし、シーズン後半にどう巻き返してきたかについても同じだ。レース後にデブリーフをして、パフォーマンスに失望してフラストレーションを抱えていた時期から、また勝利を楽しみ、笑顔になれるようになった。
タイトルを失った決定的な場面を1つ挙げろと言われても、正直難しい。
オスカー・ピアストリ:正直、挙げようと思えばいくつもあると思う。残念ながらね。でも、それはたぶん誰にとっても同じだ。完璧なシーズンなんて存在しない。
だから、「ここでこれだけポイントを失った」「あそこでこれだけ失った」と細かく数えていってもあまり意味はないと思う。誰だってどこかでポイントを落としているからだ。
もちろん僕の側にも、もう一度やり直したいレースや場面がいくつかあるし、チーム側にも同じようなレースがあるはずだ。でも、どれか1つ、「これだけが特別に痛かった」というものはない。
Q:(マリナ・ベッカー/TV Bandeirantes)3人とも、この週末をできるだけ「普通の週末」として捉えようとしているのはわかるが、実際には普通ではない。ご両親や友人はサーキットに来ているのか。来ることを許したのか、それとも自分から来てほしいと頼んだのか。
ランド・ノリス:両方だ。シーズン最終戦なので、毎年友人を何人か招待している。友人たちも他のみんなと同じくらい大事な存在だからだ。多くの友人が毎週末、毎週、僕をサポートしてくれて、応援してくれている。色々な場面でアドバイスをもらったり、助けてもらったりしている。
だから、勝っても負けてもシーズンの最後を彼らと分かち合えるのはいいことだ。これは毎年そうで、今年だけ特別というわけではない。
両親も多くのレースに来ているし、今回は最終戦だから来ている。良いレースだから来るとか、悪いレースだから来ないとか、そういう理由ではなく、毎年シーズン最後のレースには来る。
だからミックスだが、僕は彼らにここにいてほしい。勝っても負けても、この瞬間を少しでも多く、家族や友人と共有したいからだ。それは彼らにとっても楽しいことだからだ。
マックス・フェルスタッペン:いない。父はアフリカでラリーをしている。母は…そういう予定にはなっていなかったという感じだ。僕自身も、最終戦までタイトル争いをしているとは、そこまで計画していなかったからね。ザントフォールトの後あたりから、そういう予定は全部キャンセルされたようなものだ。母は家で犬たちと一緒に幸せに過ごしている。テレビで色々見られるから、それで十分だ。
オスカー・ピアストリ:僕の家族は来ている。内容としてはランドと似たような感じだ。シーズン最終戦だし、僕はキャリアの中で家族や友人がほとんどいない状況でレースをしてきたことも多いので、彼らがここにいてくれるのはいつだってうれしい。
ただ、それで世界が変わるわけではない。もちろん特別なことだが、「彼らがいないとダメだ」という類のものではない。中には両親がいない方がいいとか、人が周りにいない方がいいと感じるドライバーもいるが、僕にとっては家族が来てくれるのは良いことだ。
Q:(トム・スレイファー/DAZN スペイン)今週は誰がタイトルを獲るか、みんなが色々な意見を言っている。他のドライバーたちにも「誰がチャンピオンになると思うか」と聞いてきた。だから、今度は君たち3人に聞きたい。誰があのトロフィーを手にすると考えているか。
ランド・ノリス:まあ、みんなお互いの名前を挙げることになるだろうね…。
Q:(ネルソン・ファルケンブルグ/Viaplay)マクラーレンの2人に質問だ。君たちはしばらくエンジンを交換していないし、今季はメルセデスエンジンにトラブルが出たケースを何度か見ている。今週末、そのことを気にしているか。
オスカー・ピアストリ:正直に言うと、今どのエンジンを載せているのか、いつ交換したのか、そういうことも把握していない。だから、特に心配はしていない。
ランド・ノリス:僕も同じだ。
Q:(ティム・ハウラネイ/TSN)マックスに質問だ。さっき「母は家で犬の世話をしていて、父はラリーに行っている」と言っていたが、今週末を前に、どちらかから励ましの言葉のようなものはあったか。
マックス・フェルスタッペン:僕らはそういうタイプではない。彼らは、僕がクルマに乗れば全力を尽くすことを知っている。だからレースのことではなく、他のことを話す。彼らが僕を鼓舞する必要はないし、そういうやり方はうまくいかない。
でも、もちろんいつも僕のことをサポートしてくれている。母は毎レースウイークの前にキャンドルを灯す。それはいつもやっている。でも、彼らは息子を信頼している、ということだ。
Q:(レイチェル・ブルックス/Sky F1)ランドに質問だ。例えば、レース終盤に君が4番手で、オスカーが3番手、そしてマックスがトップを走っているという状況を想像してほしい。オスカーがタイトル争いから外れている状況で、彼が君を簡単に前に出すことを期待するか。それとも、そうしてほしいと思うか。その点はチーム内で話し合ったか。
ランド・ノリス:いや、話し合ってはいない。そして正直に言えば、そうしてくれたら最高だが、自分から頼むことはしないと思う。
なぜなら…それはオスカー次第だからだ。君が言うような状況で彼がそれを許すかどうかは、僕ではなく彼が決めることだと思う。逆の立場になった場合、僕はどうするか、という問題でもある。僕自身の感覚としては、そうするだろうと思う。僕はいつもそういう人間だし、それが僕のスタイルだからだ。
でも、それでもやはり彼次第だし、自分からお願いするつもりはない。フェアなお願いだとは思えないからだ。
そして同時に、もしそのシナリオでレースが終わって、マックスがタイトルを獲ることになったら、それはそういう結果だったというだけだ。彼におめでとうと言って、来年に向けてまた頑張るだけだ。僕の人生がそこで変わるわけではない。だから、その場合は彼の方が僕らよりもふさわしいということだ。
Q: オスカー、そのシナリオについて考えたことはあるか。
オスカー・ピアストリ:レイチェルはランドに聞いていたからね。僕には聞いてなかった。
その件について何も話し合われていないので、どういうことが自分に求められるのかがわからない限り、答えようがないというのが正直なところだ。
Q:(スティーブ・クロスマン/BBC 5 Live)3人全員に、チームメイトについて聞きたい。
ランドとオスカーには、お互いのどんなところが好きで、尊敬しているのか、ドライバーとしてでも人間としてでもいいので聞きたい。
そしてマックスには、新しいチームメイトを迎えることになるので、いいチームメイトとはどんな条件を満たしているべきか、教えてほしい。
ランド・ノリス:えーと……。
オスカー・ピアストリ:急がなくていいよ!
ランド・ノリス:選択肢が多すぎてね。
オスカーについて僕が好きなところは、あらゆることへのアプローチの仕方だ。いつも、というのは言い過ぎかもしれないが、ほとんどの状況で落ち着いていて、どんな場面でもかなりリラックスしていて、クールでいられる。そこは僕が尊敬しているところで、自分にももう少しそういう部分があればと思うことがある。
もちろん、人それぞれスタイルが違うし、自分にとって何が一番うまくいくのかを探していくものだ。でも、どんなドライバーに対しても、子どもの頃からそうだが、「この部分は尊敬できる」「ここはあまり好きではない」といったところがある。
そのうえで一番大事なのは、人としてどう付き合えるかだと考えている。僕はこれまでチームメイトとずっとうまくやってきたし、それは簡単なことではない。たった1つの判断や行動で、これまでうまくいっていた関係が一気に崩れてしまうこともある。僕らはそこをうまくやってきたと思う。
もちろんチームとしては、タイトル争いをしているドライバーが2人いるのは楽ではない。1人だけが争っている方が色々とシンプルだ。その分、ややこしいことも増えるし、難しい場面も出てくる。他のドライバーが会話…つまりタイトル争いに割り込んでくる余地も増える。
それでも僕らは2人とも上位で戦えていることをうれしく思っているし、これまでの協力の仕方や、お互いをどう扱っているか、サーキットの上でも下でも、すべてが良い方向に機能していると思う。誰もがこのやり方に賛成するわけではないだろうし、それは完全に理解できる。
だが僕らは、コース上では「どちらが速いかを証明するために全力で走る」。そしてヘルメットを脱いだ後は、1人の人間として、1つの人格として人生を楽しむ。その両立を大事にしている。その点に僕は大きな敬意を払っているし、楽しんでもいる。10年後に振り返っても、きっと同じことを言うと思う。
オスカー・ピアストリ:そうだね……まずは彼のクルマのコレクションかな。僕も追いつこうとしているところだ。
冗談はさておき、ランドと似たようなことを感じている。コース上で起きたことを、コース上に置いてこられること。そしてコースの外では仲良くいられること。それができているのは良いことだと思う。ランドが言ったように、それができない状況になるのは本当に簡単で、これは2人の協力があって初めて成り立つことだ。
だから僕にとっては、それが…「尊敬」という言葉は、チームメイトに対して使うには少し大げさかもしれないが、ランドの大きな強みだと思う。
マックス・フェルスタッペン:質問のタイミングが絶妙だね。長い答えがほしいのか、短いのでいいのか。
チームメイトに何を求めるかと言えば、まずはクルマの開発でチームと一緒に良い仕事ができること。ドライバー同士の理解が深く、フレンドリーで、ユーモアがあって、オープンマインドでいること。週末を通じて互いに何かを隠さないこと。
結局のところ、一番大事なのはチーム全体を前に進めようとする姿勢だ。オフ・トラックでも親友でいられれば、それは素敵なボーナスだが、絶対条件ではない。オン・トラックでとてもプロフェッショナルでいられて、チームに利益をもたらせるのであれば、それで十分だ。
Q:(ロドリゴ・フランサ/Car Magazine Brazil)ランドとオスカーに質問だ。マックスは、母親が毎レース前にキャンドルを灯すと言っていた。君たちの母親にもそういった“儀式”のようなものはあるか。また、「気をつけて走りなさい」といったことを言われるか。
オスカー・ピアストリ:母に特別な“儀式”があるとは思わない。
「気をつけてね」と言われることはあるし、周りに他のクルマがいない状況を好む。僕もそうだ。理解できる話だ。
ただ、それ以外に特別なことはない。オーストラリアから僕のレースを見るのは、どんなときでもかなり過酷だ。起きているだけで大変だし、結果がどうであれ、家族にとっては寝不足の夜や、月曜の朝の厳しさがセットになっている。それでも、彼らのサポートを感じられるのはうれしい。
ランド・ノリス:僕も似たような感じだ。母はいろいろやるタイプで、左右で違う靴を履いたり、変わった色の靴を履いたり、とにかく色々試す。でもマックスが言ったような、毎回同じ儀式があるわけではないと思う。
母も「他のクルマから離れて、気をつけて走りなさい」といったことを言う。
考え方の違いもあると思う。マックスのお母さんは元レーシングドライバーだから、僕らの母親よりもレースのことを理解しているはずだ。だからこそ、僕らの母親の方が、何が起こっているのか細部まで理解できないぶん、余計に怖く感じるところもあるのだと思う。
でも、僕は母のことが大好きだし、それで十分だ。
Q:(スコット・ミッチェル=マルム/The Race)3人全員に質問だ。まずマックスから答えてほしい。
「大一番」のプレッシャーへの対処という観点で、君はすでにこの状況を経験している。特に2021年と比べて、今回の緊張感はどうか。当時、決勝レース中に脚がつってしまうほどストレスの大きいレースだったと言っていたと記憶している。
そしてマクラーレンの2人には、プレッシャーにどう向き合っているかを聞きたい。
マックス・フェルスタッペン:今はとてもリラックスしている。失うものは何もないからだ。だから、ここにいられることを楽しんでいる。というより、ここにいることだけが楽しいわけではなく、シーズン後半を通じてチームと一緒に仕事ができたことそのものを楽しんでいる。
難しい時期からどうやって立ち直ってきたか、レース後のデブリーフでパフォーマンスに失望していたところから、また勝利を楽しみ、笑顔を取り戻せるようになった。そのプロセスを楽しんでいる。
だから今、このタイトル争いの場に座っていられることはボーナスのようなものだ。だからこそ、気持ちはとてもシンプルだ。いい週末にしようとするだけだ。
とはいえ、ここから先の結果は僕のコントロールの外にある部分も多い。だから、さっきも言ったように、ただ楽しもうとしているだけだ。
ランド・ノリス:僕も似たようなものだ。ただ、僕はこういう状況を経験したことがないので、その点ではマックスとは違う。
今のところ、気分はいい。正直、このことについては、あなたたちメディアに聞かれるまで考えていない。だから、できるだけあなたたちを避けようとしているわけだが、それも仕事の一部だ。初めてのことではないし、何かにショックを受けているわけでもない。
この週末も、ここに来るまではこのタイトル争いのことを考えていなかった。ここ3日ほどはゴルフをしたり、友人たちと過ごしたりして、楽しく過ごしてきた。月曜日には、二日酔いかどうかはともかくとして、また同じように楽しめるのを楽しみにしている。
だから本当にいつも通りだし、ここ数週間と同じように、コース上でも同じでいられると思う。この数週間は、すでに大きなプレッシャーの中でレースをしてきたが、それでもクルマの中では快適に感じているし、今もそうだ。だから、とても順調だ。
オスカー・ピアストリ:僕もリラックスしている。ジュニアカテゴリーではタイトル争いの“反対側”にいたことがあって、そのとき何を感じたかも覚えている。あのときはかなりきつかった。
でも今は、この3人の中で失うものが一番少ない立場からこの戦いに入っている。だから、僕にとっては状況がかなり違う。カタール以降、自分がいいパフォーマンスを発揮できるという自信もついた。
もちろん、チャンピオンになるには今週末かなり多くのことが自分に味方しないといけない。でも僕は、正しい場所にいること、正しいタイミングでそこにいることだけを意識して、あとは何が起こるかを見てみるつもりだ。
Q:(クリスティアン・メナト/Motorsport-magazin.com)マクラーレンの2人に質問だ。今週末のデータ共有についての状況はどうか。これまで通りチームメイトとして協力していくのか。それとも今週末は何か違うことがあるのか。
オスカー・ピアストリ:僕らの間に段ボールの仕切りを立てたよ。
…というのは冗談で、いつも通りだ。僕らはこれまでも、クルマをできるだけ速くして勝つことを目標にしてきたし、2人ともレースに勝つための同じチャンスがほしいと思ってきた。その姿勢は今週末もまったく変わらない。
ランド・ノリス:何も付け加えることはない。たとえ僕らが違うことをやろうとしたとしても、ザクやアンドレアが許さないだろう。だから、いつも通りだ。
Q:(フィル・ダンカン/PA)ランドに質問だ。マックスは「自分には失うものがない」と言い、オスカーは「3人の中で自分が失うものは一番少ない」と言っていた。ポイントリーダーである君は「もっとも失うものが大きい」と感じているか。その状況をどう受け止めているか。
そしてマックスには、2021年にこの状況を経験していることが、今回アドバンテージになると思うかを聞きたい。
ランド・ノリス:順位という意味では、もちろん僕が一番失うものが大きい。僕がトップにいるからだ。それをシーズン最後まで守ろうとする。あと数日、やり切るつもりだ。
同時に、もしうまくいかなかったとしても、来年また挑戦すればいいだけだ。しばらくは悔しいだろうが、それも人生だ。前を向いて、来季はもっといいシーズンにできるよう頑張る。
だから僕自身も、「失うものは何もない」というメンタリティを持っている。これはチャンピオンシップのためのレースに過ぎないし、30年後にはどちらに転んでいようと、そこまで深く考えていないと思う。
だから、そこまで気にしてはいない。自分にできるベストを尽くすだけだ。うまくいけば素晴らしいし、うまくいかなければ来年また挑戦する。
マックス・フェルスタッペン:トロフィーの見た目は同じだ。家には4つあるから、5つ目を加えられればいいなとは思う。僕のサインも知っているし、同じだ。
もちろんいつだってタイトルを獲ろうとする。でも同時に、F1でやりたかったことはすでにすべて達成している。あとは全部ボーナスだ。僕がレースを続けているのは、ただ好きだからだし、楽しんでいるからだ。それがこの週末への僕のスタンスだ。コース上で楽しい時間を過ごし、結果を最大化しようとする。
ただ、「最大化」と言っても、それがタイトル争いの中でどの順位を意味するのかはわからない。現実的に見て、僕らが最速だとは思っていないからだ。でも、何が起こるかはわからない。カタールでもそうだったように、色々なことが起こり得る。だから、どうなるか見てみようという感じだ。
Q:(ラデク・マザル/TV Nova)マックスに質問。さきほどランドとオスカーのエンジンについて話が出たが、君のエンジンはどうか。サンパウロでは5基目の新エンジンを使い、前戦では4基目に戻していた。今週末アブダビではどちらを使うのか。
マックス・フェルスタッペン:5基目を使うかもしれないし…4基目かもしれない。どれもちゃんと動いているからね。どちらでもいい。大事なのは、どのエンジンも問題なく走るということだ。
Q:(ルーク・スミス/The Athletic)マクラーレンの2人に質問だ。マックスは、ワールドチャンピオンになるという目標はすでに達成していて、F1でやりたかったことはすべてやり終えたと言っている。
君たち2人にとって、今左側に置かれているワールドチャンピオントロフィーを授与されることは、どんな意味を持つか。
ランド・ノリス:そのときになったら、数日後か数週間後かにまた聞いてほしい。
これは僕の人生のすべてだ。人生をかけてここまでやってきた。だから、僕にとっては世界を意味することになるだろう。ここ16年くらい、ずっとこの瞬間を目指して生きてきた。
僕を支えてくれた人たち、プッシュしてくれた人たちにとっても、世界を意味すると思う。子どもの頃に抱いた「ワールドチャンピオンになる」という夢を叶えたことになるからだ。
それ以上に何と言えばいいのかはわからない。これは多くのハードワークへの報酬であり、一番ふさわしい人間のもとに渡るべきものだと思う。
オスカー・ピアストリ:かなりクールだと思う。
ただ、そういうことは実感が湧くまで少し時間がかかるものだとも思う。それに、次のシーズンは数週間後には始まる。だから、過去に何を達成したとしても…マックスが一番よくわかっていると思うが、結局はすぐに次のレースで勝とうとすることになる。
だからもちろん、とてもクールな達成だと思う。でも、あまり期待しすぎないようにしている。どうなるかはわからないからね。もし達成できたら、僕はかなりハッピーな男になっていると思う。
Q:(ベン・ウォーターワース/Speedcafe)オスカーに質問だ。過去に複数人のドライバーがタイトル争いをしていたシーズンでは、ランキング3番手のドライバーがタイトルを獲った例が2回ある。君はライコネンやベッテルからインスピレーションを得ているか。
そして、オーストラリアからのサポートについてだが、その盛り上がりは議会で取り上げられるほどだ。そのサポートを今どう感じているか。
オスカー・ピアストリ:議会で取り上げられたのは見た。あれはかなりすごいことだ。
3番手のドライバーがタイトルを獲ったという統計は、今の僕にとってはうれしいデータだ。ただ、それが過去に一度起きたからといって、今回も同じように起きるとは限らない。だから、そのデータだけに頼るつもりはない。でも、ほんの少しだけ「不可能ではない」という安心感を与えてくれるのは確かだ。
オーストラリアからのサポートについては、本当に特別なものだと感じている。僕自身は、そのすべてを目の当たりにしているわけではない。オーストラリアにはグランプリ以来戻っていないしね。でも、F1や、事情はどうあれ僕の名前がオーストラリアの議会で取り上げられたという事実は、ある意味かなりクールだと思う。それは、僕らがどれだけ大きなサポートとフォローを得ているかの象徴でもある。
だから、それはとても素晴らしいことだし、みんなのためにタイトルを持ち帰れるようベストを尽くすつもりだ。
Q:(レオニド・クリュエフ/Grande Premio Brazil)オスカーに質問だ。君のメンターであるマーク(ウェバー)は、2010年ここアブダビでベッテルにタイトルを奪われた。君はここで戦うにあたって、それを“雪辱戦”や、マークのための戦いだと感じているか。
オスカー・ピアストリ:いや、僕は自分のために戦っている。
結局、レーシングドライバーは基本的にかなり自己中心的な人種だ。最後は自分1人がクルマに乗って、自分のプライドのために戦っている。もちろん、その道中には家族や友人、マネージャーやサポートしてくれた人たちがたくさんいる。でも、そもそもこのスポーツを始めたのは、自分自身のためだ。
だから、まず第一に自分のために戦っている。マークも、僕が勝つところを見たいと思ってくれているはずだが、「2010年の借りを返す」といったことを考えているわけではない。

