マクラーレンは、タイトルの行方を左右するアブダビGPに向けて、ランド・ノリスとオスカー・ピアストリに対するチームオーダーの運用方針を事前に協議すると明らかにした。最終戦というプレッシャーの中で、どこまで個々のレースを尊重し、どこから「チームとしての最適解」を優先するのかが、今回のテーマになったはずだ。
チーム代表アンドレア・ステラは、Sky Sportsに対し「チームとして最良の結果を得ることと、ドライバー間の公平さのバランスを取ること」が議論の軸になると説明している。状況によっては、順位の固定や入れ替えといった明確な指示を出す可能性も否定していない。つまり、レース中の展開次第では、ノリスとピアストリの自由なバトルに制限がかかる局面も想定しているということだ。
一方で、ステラは「どちらか一方を露骨に優遇する形になれば、チーム内の信頼関係を損ないかねない」ことも理解している。ドライバー2人ともタイトルや順位争いに深く関わっている以上、短期的なポイント計算だけでなく、来季以降を見据えた関係性の維持も避けて通れない論点だ。
マクラーレンは今季、両ドライバーの実力を生かしたダブルエース体制・パパイヤルールで勢力を伸ばしてきた。その成功モデルを崩さずにタイトルを取りにいけるのか。それとも、最終戦はあえて序列を明確化しにいくのか。アブダビの戦略と無線交信は、タイトル争いの行方とマクラーレンのチーム哲学を映し出す試金石になると言える。

