2025年F1最終戦を前に、レッドブルとレーシングブルズ(VCARB)が2026年シーズンのドライバー体制を発表した。イサック・ハジャーがマックス・フェルスタッペンの7人目のチームメイトとして昇格することが決定。角田裕毅は2026年のレースシートを失い、来季はテスト兼リザーブドライバーへ回ることになった。この役割はかつてアレックス・アルボンが担っていたものだ。これにより、翌年のグリッドがすべて出揃った。
角田裕毅はF1で5年目、これまでのドライバーと同様、レッドブルのマシン適応に時間を要し、チームメイトのフェルスタッペンに近づく結果を出せず、最高位6位、ランキング15位(最終戦アブダビ前時点)と振るわなかったことが決定要因とみられる。エイドリアン・ニューウェイに去られたレッドブルは今季大きく低迷することが予想されていたが、結果フェルスタッペンはシーズン7勝を挙げてチャンピオン争いに加わり、角田の苦戦は浮き彫りになった。
角田裕毅にとって、2026年はシミュレーターで新レギュレーションマシン開発の知見を得られるのが救いになる。この機会がなければF1シートへの復帰はずっと難しくなるかもしれない。一方、リザーブドライバーの立場において、もしハジャーやリンドブラッドが大失敗して交代のチャンスが巡って来ても、これ以上レッドブルで走ることは角田裕毅のキャリアにとって中長期的なメリットにはならないだろう。
F1でキャリアを継続するには、2027年に向けて他チームのシートを模索する必要がある。最も有望なストーリーは、2026年でアロンソが引退を決断し、ストロールが父を追って投資家へ転向して、シートが空いたアストンマーティンへ参画することだろうか。ここには角田を支援するホンダも待ち構えている。他にハース、アルピーヌにも空席が出来る可能性があり、角田のマネジメントチームは模索を始めるだろう。
ハジャーはVCARBで堅実なルーキーシーズンを送り、オランダGPでは表彰台も手にして、新レギュレーション元年となる2026年からレッドブルでスタートする絶好の機会を手にした。多くのドライバーが果たせなかったフェルスタッペンに迫る可能性を掴めるかが焦点だ。
ハジャーの後任として、F2を戦うアーヴィド・リンドブラッドがVCARBに加入する。2024年のF3ではルーキーながら4位。2025年はF2で6位につけているが、F1テストでのパフォーマンスが評価され、抜擢につながった。リンドブラッドは長くレッドブルのテストプログラムに参加しており、その経験がVCARB入りを後押しした。一方、リアム・ローソンは2年目のフルシーズンに挑む。
イサック・ハジャー
「Oracle Red Bull Racingが僕をF1トップチームで走らせてくれる機会と信頼を与えてくれたことに、本当に感謝している。ジュニアチームに加入して以来、ずっと努力を続けてきて、今回の昇格は大きな報酬だ。キャリアでは多くの浮き沈みがあったけれど、チームはずっと僕を信じて背中を押してくれた。
今年のVisa Cash App Racing Bullsでの経験は素晴らしいもので、初表彰台も獲得し、ドライバーとしても人間としても大きく成長できたと感じている。レッドブルに行く準備はできているし、チームもそう感じてくれたことがうれしい。最高の環境でマックスから学べるのが待ちきれない。」
ローラン・メキーズ(レッドブル代表)
「ユウキは7年間レッドブルのカラーを背負って戦い、両チームで私もその姿を間近で見てきた。F1での5シーズンで彼は成熟したレーサーになり、土曜の一発も日曜のレースクラフトも非常に高いレベルにある。彼の人柄は誰からも愛され、レッドブルファミリーの特別な存在だ。これまでの貢献に感謝しているし、2026年のプロジェクトに向けても大きな支えになってくれるはずだ。
一方イサックは、初年度ながら成熟した走りを見せ、何よりこのスポーツで最も重要な“純粋な速さ”を証明した。彼がマックスとともに輝きを放つと信じている。2026年はチームにとってもRed Bull Ford Powertrainsにとっても大きな挑戦になるが、すべてが非常にエキサイティングだ。」
リアム・ローソン
「2026年にVCARBで走れることが本当に楽しみだ。大きな変革の年になるだけに、このチャンスには感謝しかない。チームとともに準備を進め、難しいシーズンに備えたい。とてもエキサイティングな一年になるし、プレシーズンテストから全力で臨みたい。」
アーヴィド・リンドブラッド
「VCARBのみなさんに心から感謝している。5歳でレースを始めて以来、F1に立つことが目標だったから、このステップは誇りだ。Red Bull Junior Programmeと僕のチームの支えがなければ、ここには辿り着けなかった。
2026年は大きな挑戦になるし、学ぶべきことも多いけれど、チームと密に取り組み、成長し続けたい。すぐにでも始めたい気持ちでいっぱいだ。」
アラン・パーマン(VCARB代表)
「まずイサックに最大限の祝福を送りたい。経験を超えた安定感とレースクラフトを示し、トップチーム昇格を完全に勝ち取ったシーズンだった。彼の旅路に関われたことを誇りに思う。
ローソンは今年、難しい状況でも力を発揮してきた。2026年はさらに強力な存在になるはずだ。リンドブラッドの急成長も特筆すべきで、若さと野心を持った彼ら2人は、VCARBの新時代を象徴するラインアップになる。」

