2025年のF1ラスベガスGPは、シーズン屈指の劇的な展開になった。マクラーレンはリアのスキッドプランク摩耗が規定値を下回ったことでダブル失格となり、結果が破棄された。アンドレア・ステラ代表は、問題の根源が「予想外に大きなポーポイズ現象」だったと説明した。激しい縦揺れが車体に影響し、結果として規定値を割り込んだという。マクラーレンはプラクティスの走行データを踏まえて車高設定に無理をしていなかったと主張している。
「今回の状況を招いた具体的な原因は、予想外に広範囲で発生したポーポイズ現象により、大きな縦方向の振動が起きたことだ。レース中の条件によって揺れはさらに悪化し、プラクティスで見ていた挙動やレースでの作動領域の予測からは想定できないレベルに達した。
プラクティスで得たデータに基づき、僕たちは車高設定で過度なリスクを取ったとは思っていないし、予選と決勝には地面とのクリアランスに関して追加の安全マージンも設けていた。
しかし、この安全マージンは予期せぬ大きな縦揺れによって消され、車体が路面に触れる場面が増えてしまった。さらに、このポーポイズの性質は抑えるのが難しく、減速すれば対策になるはずの場面でも、一部コーナーでは逆効果になることがあった。」
安全マージンは確保していたが、レース本番の異常な縦揺れによってそれが帳消しになった。チームは走行中から危険を察知し、対策を講じたが、最終的にはわずかな差を埋めきれなかった。
「レース序盤から、想定外のポーポイズのレベルが懸念になることはデータで明らかだった。ノリスの車体はテレメトリーである程度把握できたが、ピアストリ側は地面への接触レベルを判断するセンサーの一つが失われ、状況の把握が難しくなった。
僕たちはかなり早い段階で、このポーポイズがスキッド摩耗のエネルギーを大幅に上げていることを把握し、両ドライバーはコースのさまざまな地点で対処行動を取った。ただし、車の作動領域とサーキットの特徴もあって、これらの対策は多くの場面で効果が不十分だった。」
ノリスについてはデータが明確だったものの、ピアストリ側はセンサーの一つが故障したことで状況把握が難しくなったという。ステラは、スチュワードが「故意性はまったくない」と認めたことを明かし、今後は小さな誤差をどう扱うか規定面で議論が進む可能性を示唆した。
「我々は技術デレゲートと共にスキッド厚の計測が正しいことを確認した。摩耗が比較的小さく、しかも局所的なものであったとしても(ノリスは0.12mm、ピアストリは0.26mm)、規定は“レース後にすべての位置で9mm以上”と明確に定めている。
スポーティング規則や財務規則と異なり、テクニカル規則には違反の大小に応じた“比例性”は存在しない。
FIA自身も、この比例性の欠如は将来改善すべき点だと認めており、意図的ではなく、性能面での利益もほとんどない軽微な違反が過度な結果を招かないようにするべきだと話している。また、今回の違反について、FIAは“故意ではなく、規定を回避しようとした意図はない”と強調しており、我々が説明した状況には情状酌量の余地があると認めてくれた。」
カタールでは同様のポーポイズは起きない見込みだとしつつ、学びを生かして準備しているという。タイトル争いはフェルスタッペンがノリスに24ポイント差まで迫り、ピアストリとは同点のまま。残り2戦、マクラーレンは従来と同じ方針で両者に自由に戦わせる。
「ラスベガスで起きたことは、性能を無謀に追った結果ではなく、車の挙動の“異常”が原因だった。
僕たちの姿勢とアプローチは、強いパフォーマンスへのこだわりがあってこそ、2年連続のコンストラクターズタイトルや、残り2戦で2人のドライバーがタイトル争いのトップに立つ状況を実現できている。
チームは経験から絶えず学び、アプローチを調整し続けている。ラスベガスで得た情報も必ず今後に生かす。
今週、ファクトリーを歩いて改めて実感したのは、チームの文化的な基盤が非常に強固だということだ。反応はすべて前向きで、ネガティブを排除し、この状況からさらに強くなろうという姿勢にあふれていた。
今回の出来事は痛みを伴うが、こういう痛みがチームを成長させる。マクラーレンには“誰かを責める文化”はなく、“成長し続ける文化”がある。
我々は金曜午後のカタールを待ちきれない。ランドとオスカーにベストなマシンを渡し、タイトルを勝ち取れる唯一の2人にするつもりだ。」
「タイトル争いの方針を変える理由は何もない。我々は“数学的に可能な限り、2人に自由に戦わせる”という方針を一貫してきたし、それはカタールでも同じだ。シーズン前に“残り2戦で2人がタイトル争いのトップにいる”と言われたら、誰だって喜んで受け入れるはずだ。我々は自信と確かな強さを持って、ダブルタイトルに向けて戦う。」

