2025年F1ラスベガスGPは、北米における視聴者数の面では頂点を極めた一方で、現場の声はカレンダー編成に強い不満を突きつける結果となった。ESPNによれば、決勝レースの視聴者数は約150万人に達し、2024年の約90万5000人から約68%増加、2023年の初開催時を含め過去最高記録だった。ナイトレースのスタート時刻を2時間前倒ししたことで、米国内のゴールデンタイムに近づき、ライトファンも巻き込んだ形だと分析されている。
しかし、華やかな数字とは裏腹に、ドライバーたちは「ラスベガスを含むトリプルヘッダー編成」に対して限界を訴えている。現在のカレンダーでは、11月20日アメリカのラスベガス、30日中東カタール、12月7日アブダビが2年連続で長距離トリプルヘッダーとして組まれており、フェルナンド・アロンソは過酷な移動と時差を「ほかのスポーツでは受け入れられないレベルだ」と批判。カルロス・サインツもこれに同調し、「ラスベガスはブラジルGPと連戦にし、その後に中東2戦をまとめるべきだ」と具体案を示している。
こうした中、2025年大会は「ESPNでのラスベガス最終戦」となった。F1の米国向け放映権は2026年からApple TVに移行し、5年契約でストリーミング独占体制へと舵を切る。視聴率という表の成功と、現場が訴える移動・安全・疲労の問題という裏側。そのギャップをどこまで埋められるかが、ラスベガスGPが「ショー」で終わるのか、「スポーツイベント」として定着できるのかを左右することになるだろう。

