マックス・フェルスタッペンが、今季ドライバーズタイトル獲得の可能性について「望みは薄い」とのコメントを漏らした。直近のブラジルGPでピットレーンスタートから表彰台まで巻き返す走りを見せながらも、選手権争いの構図は厳しいままだ。

サンパウロで優勝したのはタイトル争いのライバルであるランド・ノリスだった。この結果、ランキング首位ノリスとフェルスタッペンのポイント差は49に拡大。残り3戦と1スプリントで獲得可能な83ポイントを考えれば、数字の上では逆転の余地は残るが、現実的には「ミラクル待ち」の状況だ。

フェルスタッペン自身も、シーズン序盤から中盤にかけて「失ったポイントがあまりに多かった」と振り返り、「僕らは現実的にならなければならない。シーズンを通して十分に良かったとは言えない」と認めている。開幕からマシン開発に後れを取り、特定コンディションで競争力を欠いたツケが表面化した格好だ。

一方で、レッドブル首脳陣も状況を冷静に見ている。アドバイザーのヘルムート・マルコは、タイトルの可能性をつなぎ止める唯一の条件として「ノリス側にリタイアや接触などのアクシデントが起きること」を挙げ、「何も起こらなければチャンスはない」とまで言い切る。チームとしても、もはや“逆転タイトルプロジェクト”ではなく、“残り数戦でどれだけ勝利とハイライトを積み上げられるか”に目標を切り替えつつある。

それでもフェルスタッペンは、完全に戦意を失ったわけではない。「シーズン最後まで、勝てるレースは必ず取りにいく」とも発言しており、タイトルが事実上絶望的な状況でも、毎戦で最大限のリザルトを狙う姿勢を強調する。すでに記録的な4連覇を達成している王者にとって、今季はフォードとのチーム再建に向けた重要な過渡期と言える。