2025年シーズンは残り3戦となり、角田裕毅には突出した走りと確かな結果が求められている。中団勢は依然として僅差のポイント争いを繰り広げており、単発の上位入賞が選手権の流れを左右する局面に差し掛かった。加えて、ハジャー、ローソン、リンドブラッドとともに、来季のレッドブルとレーシングブルズのシートが判断される重要な終盤戦となる。
レッドブルのパッケージは一定のレンジで際立った競争力を示しうるが、角田はフリー走行序盤の適応に時間を要する場面が目立ち、取りこぼしのリスクを抱えててきた。決勝ではスタート直後の混乱を避け、ミドルスティントを組み立てることで評価を積み上げてきたものの、シーズン中に強烈な印象を残すハイライトと呼べる場面は多くない。今季ここまで獲得した28ポイントは、昨年チームを追われたセルジオ・ペレスが記録した表彰台3回、151ポイントと比べても大きく見劣りし、来季に向けた説得力ある根拠を示すには厳しい状況にあるといえる。

一方で、レッドブルのシート動向が特別視される事情として、フェルスタッペンのチームメイトとして走る苛烈さと、これまでレッドブルを離れたドライバー達が他チームで活躍出来ている事実がある。過去のドライバースイッチへの後悔もあるだろう。角田裕毅のマシン適応と遂行能力が、本当に解雇に値するのか、慎重な議論が行われているとみられる。
角田裕毅が持ち合わせているスピードが失われたわけではないだろう。残ったグランプリのチャンスの中で結果を引き寄せる可能性は残されている。残り3戦で「一撃」と呼べる結果を残せるかどうか、フェルスタッペンのタイトル戦略を支える役割も同時に求められる中、角田がチーム内での存在感を示し、中団戦線の主導権争いに風穴を開けることができれば、レッドブルグループ内に限らず、来季以降のシート争いにおいても大きな意味を持つはずだ。シーズン終盤、角田に託された使命は重く、その走りがキャリアの行方を左右する重要な瞬間を迎えている。

