2025年シーズンの開幕に向け、各チームの状況・見通しまとめ
マクラーレン
2024年コンストラクターズ王者の速さを維持できるか注目される。恐らく安易な失敗はしないだろう。2025年最も有望なチームと言ってよい。コンビ3年目となるノリスとピアストリのワン・ツーが何度も見られるだろうか。懸念は2人の優勝争いによりチームのポイントを損なうリスクを負うことだろう。
フェラーリ
ハミルトンとルクレールが同じマシンに乗ったらどちらが速いか。年齢面でハミルトンの衰えが懸念されているが、7度のチャンピオンがフェラーリに乗り換えたせいで終わるとは考えにくい。2人が拮抗してトップ争いをすることが期待されている。ミハエル・シューマッハーが築いたようなフェラーリ黄金時代の再来なるか。因みに、シューマッハーの5連続タイトルが始まるまでには、フェラーリ加入から5年を要した。
レッドブル
F1での経験が11戦のローソンがどこまでやれるかが注目される。ローソンのパフォーマンスがペレスと同等かそれ以下であれば、ペレス解雇の判断が問題視される。もしローソン起用が失敗と認識されたら、コンストラクターズ選手権のために、シーズン中に角田裕毅などへスイッチする可能性も考えられる。チーム主要人材流出でパフォーマンスの低下が懸念されており、フェルスタッペン5度目のタイトル挑戦は難易度の高いものになるだろう。フェルスタッペンは、レッドブルと自らの将来を天秤にかけ移籍の判断を迫られる。
メルセデス
前評判の高いアントネッリは、ラッセルに近づけるだろうか。ラッセルはF1で7年目。メルセデスで3年、選手権4位、8位、6位を経験し、メルセデスで何とかチャンピオンシップに挑戦したいと考えるはず。7度のチャンピオンだったチームメイトが去った今年は、もう一歩上位を狙うチャンスになる。長年ハミルトンを支え、ハミルトンに鍛えられたチームは、その求心力とプレッシャーを失いどう変わるか。
アストンマーティン
2024年の低迷が尾を引くことが予想される。しかしチームにはこれ以上望めないレベルの好材料が揃いつつある。ニューウェイとアロンソの在籍、ホンダPUの獲得、ストロールオーナーの資金調達力。ニューウェイとアロンソともに2026年レギュレーションに向けてフォーカスを高めており、2025年は準備の年と定義する可能性が高い。一方で、ランス・ストロールに向けられる目はさらに厳しくなる。もしもストロールが身を引くような決断をすれば(オーナーの前では誰も話題に出来ないことなのだろうが)、「ニューウェイ+ホンダPU」の魅力的なシートが1つ空くことになる。43歳アロンソのF1キャリアは終盤を迎え、恐らく2026年での引退を検討するだろう。
アルピーヌ
昨年はシーズン中のアップデートにより中団グループから急浮上を成し遂げ、ガスリーの速さも改めて認められた。新人ドゥーハンは1年間シートをキープ出来るかが話題になっている。ドゥーハンの速さが期待外れであれば、シーズン後半には平川亮やコラピントにチャンスが来るかもしれない。来年はPUスイッチが決まっており、体制解消が確定している自社PUで躍進を期待するのは難しいかもしれない。昨年の急浮上要因がPU以外であれば望みがあるだろうか。
ハース
トヨタとの技術提携など、上昇に向けた好材料が揃ってきている。小松代表はチームを改善し続け、多額のコストを要する初の単独テストも実施し、中団グループでの勝利を期待されている。競合の状況を考慮すると、2025年に最も大きな飛躍が期待出来るチームなのかもしれない。懸念はドライバーラインナップがさほど強力にみえないこと。浮き沈みのあるオコンと、新人ベアマンにチーム大躍進を担えるかは疑問。
レーシングブルズ
角田裕毅には2025年が正念場となる。新人ハジャーも他のチームメイト同様に倒すとみられるが、必要なのはポイントフィニッシュのレースを何度も重ねること。今年は参戦5年目であり、今後もF1で走るためには上位フィニッシュや表彰台が欲しい。直ぐに忘れられる”良いレース”よりも、記録に残る順位、ランキングが必要。上位を望めないマシンだったとしても、周囲に欲しいドライバーだと確信させる仕事をして見せる必要がある。秋までには次のシートを決めたい。チームは昨年アップデート開発で不発を連発しており、技術面で不安がある。
ウィリアムズ
F1参戦11年目のサインツ加入で注目される。F1参戦6年目のアルボンとのコンビで、ドライバーは強力ラインナップ。どこまでやれるかは、やはりマシン次第。長らく下位を彷徨った名門ウィリアムズの復活なるか。もしマシンが今年も期待外れであれば、昨年まで優勝争いを経験したサインツは、下位を走り続けるシーズンに耐えられないかもしれない。
ザウバー
2026年アウディとしての参戦を控えており、2025年は体制等の準備期間になるとすれば、中団上位に食い込むような投資やパフォーマンスアップは考えにくい。ヒュルケンベルグの速さと安定感は証明済み。F2チャンピオンのボルトレートの速さが注目されるが、今年のザウバーでその力量を発揮するチャンスは訪れないかもしれない。