レッドブルの角田裕毅が、シンガポールGPでの走りについて「レッドブル加入後で最高のペースだった」とコメントしている。ここ数戦、苦しい展開が続いていた中で、ようやく光が見えたレースだったようだ。

残りわずかなレースで来季のシートを勝ち取らなければならない角田にとって、今回の走りは重要なアピールとなった。第3戦以来、チーム加入後で最も納得のいくレースペースを感じたという。マックス・フェルスタッペンと同じ仕様のマシンではないものの、角田は持てる力を最大限に示そうとしている。

今季後半は安定感を増したが、結果には結びついていない。前任者たちが味わったような難しい時期を繰り返し過ごしており、シートキープの可能性は下がりつつある。それでも角田は、ここ数戦の中で最も良い感触を得たと語った。

「正直、シンガポールでのペースはこれまでのレッドブルでのキャリアの中でも最高のひとつだったと思う。ポジティブな点はロングランのペースだ」

「2戦前までは本当に絶望的だった。何をしてもほとんど19位か18位だった。でも今回はすごく良いペースがあって、上位に近い競争力を感じられた。あとは1周の予選ペースを引き出すことが課題だ。この2戦はその部分で苦しんでいる」

「とにかくグリップをあまり感じられなかった。1周の速さとロングランを両立させることが鍵だと思う。それができれば全てが噛み合うはず。それが今の僕の目標だ」

角田はまた、ローラン・メキースがレッドブルに加わったことが自身に大きな助けになったと語った。メキーズの存在が、かつて所属していたビザ・キャッシュアップRB時代の感覚を呼び起こしたという。

「彼には本当にいろいろ助けてもらっている。例えば、今年レースで試していたセットアップの多くは、VCARB時代に毎レース使っていたものだった。でもそれを当たり前だと思っていて、忘れてしまっていた」

「レッドブルに来ると、チームのセットアップの方向性は全く違っていた。でもローランが“ユウキはこういうセッティングでパフォーマンスを引き出していた”とエンジニアたちに伝えてくれて、それを試したら実際に効果があったんだ。VCARB時代のようなフィーリングを取り戻せた」

「その感覚を得られたのは本当に大きい。ローランのアイデアがなければ思いつかなかった。彼には感謝している。関係性の面でも、VCARBの時と同じような雰囲気がある。彼と話す時は、チームのロゴが違うだけで、まるで以前と同じチームに戻ったような感覚になるんだ。本当に良い関係だ」

苦しい時期を経て、角田はようやく自分らしい走りを取り戻しつつある。結果こそ出なかったが、その手応えは確かなものだった。シーズン終盤、彼が再び輝きを取り戻すかに注目が集まる。