
金曜日のプラクティス中、プッシュラップ中だった角田が、前方にいたコラピントと接近し、接触を避けるために減速を余儀なくされた。この際に角田はコラピントの走行に不満を示し、彼の方向に向けて手を上げて見せた。ところがSNS上では、その仕草が中指を立てたものだと誤解され、角田は一部のSNSにおいて、スペイン語で悪意に満ちたコメントを大量に受けた。その多くは明らかに人種差別的なものだった。
これは初めてのケースではなく、今季序盤でコラピントが参戦の可能性を取り沙汰された際にも、ジャック・ドゥーハンが彼のファンから繰り返し攻撃を受けていた。
SNSが誹謗中傷であふれかえった後、予選でのクラッシュを経て無事にパドックへ戻った角田は、記者団の前でその件について言及した。
「うん、知ってる。たしかにちょっと嫌な気持ちにはなったよ」
プレスからこの件について聞かれると、角田はこう答えた。
「でも正直、僕だけの問題じゃないと思う。僕が聞いた話が正しければ、彼らはあちこちに中傷しているみたいだよ。ジャックにも向かっていて、ジャックは何も悪いことしてないのに。それはちょっと不必要だと思う。正直、トラフィックの問題でイライラするのは普通のことだし、僕も何度もそういう状況を経験してきた。でも、僕にも何か言う権利があると思うし、実際、悪いことや酷いことを言ったわけじゃない。僕はただ、フラストレーションを表現しただけ。それだけだ」
「彼らが自分たちの国のドライバーを応援してるのはわかるけど、やっぱり言っていいことのラインってあると思う。これは僕自身のことじゃなくて、ドゥーハンに対して言われたことが酷すぎたから言ってるんだ。彼は、安心してレースできる状況じゃなかったと思う。ファンがエネルギーを持ってるのはいいことだけど、それをちゃんとコントロールして、もっといい方向に使えるはずだと思う」
「彼(コラピント)は、自分ができる限りの言葉や行動で、ファンに呼びかけていると思う。でも、それでも状況がどんどん悪化していくようなら、F1側も何か言わないといけなくなると思う」
一方で、コラピントもすぐにこの問題に言及した。
「彼ら(ファン)はすごく情熱的だし、他の人に対してもとても厳しいところがある。でも、リスペクトは必要だし、それが僕たちみんなが望んでいることなんだ。SNSにはたくさんのヘイトがある。だからこそ、すべてのドライバーに対してリスペクトを持って、冷静さを保ってほしい」
コラピントは木曜日にもこの話題に触れ、2024年の終盤、自身のデビュー後の注目度がピークに達した時の方が状況はさらに悪かったと語った。彼はラテンアメリカのファンに対し、競争相手への敬意を持つよう呼びかけた。
「アルゼンチンやラテンアメリカのファンは本当に情熱的で、興奮しやすくて、自分たちに近いと感じる選手を全力で応援してくれるんだ。いつも味方でいてくれて、すごく支えてくれてる。でも、やっぱり全ドライバーへのリスペクトは大事だし、そこをもっと改善していく必要がある。
結局のところ、去年も同じようにこの状況に向き合っていた。色々読んで考える時間があったけど、今はレースに集中して、そういうのは全部もう見てない」
コラピントのマネジメントを担当するジェイミー・キャンベル=ウォルターも、プレシーズン中にこの件に言及していた。彼はXで、「アルピーヌのSNSを荒らすのはやめて」と投稿し、ファンの行動を強く非難した。
「フランコを応援しているつもりで、実は彼に害を与えている“ヘイター”たちへ。チーム、ジャック、そしてアルピーヌの他のサポーターへの侮辱。それは違う。僕たちはフランコを応援しているけど、それはピエールもジャックも含めて、チーム全体のファンなんだ。
情熱を持って応援するのはいい。でも、それが暴言や傲慢さになってはいけない。フランコのチャンスは必ずやってくる。でも、こんな形じゃダメだ。逆効果になってしまう」