
マックス・フェルスタッペンは、エミリア・ロマーニャGPでまたしてもその天才性を発揮した。歴史に残るドライバーはこんな見せ場を作るものだと、F1ファンは再認識したことだろう。マシンに不満や違和感があっても、予選までには何とか限界を見つけ、スタートでは誰もが予想しなかったオーバーテイクでリードを奪い、クリーンエアで走り続けて優勝してみせた。フェルスタッペンの、あまりにも勝負強く、重要な場面で速さを絞り出せるメンタルは、他のドライバーとは一味違うものが感じられる。
レッドブルは最近、チームメイトがフェルスタッペンに匹敵する速さをみせられなくても、それは構わないという方針に切り替わったようにみえる。フェルスタッペンのせいで、セカンドカーへの期待が下げられ、レッドブルでの角田裕毅のスタートは、まずまずの成功として扱われている。角田裕毅を5戦走らせて、フェルスタッペンに匹敵するようなドライバーは、もはや見つけられないと悟ったようだ。
現状、ローソンがオーストラリアや中国で見せたよりも遥かに、角田がRB21に馴染んでいるように見えることは幸いだが。これから、シーズン中盤に向けてチームと共に調子を上げ、終盤までには複数回の表彰台が欲しいところだ。F1でいくら惜しいレースを重ねても、数年後には皆忘れてしまい記録には残らない。今年、角田裕毅がレッドブルのシートを得て、このようなポジションで試されることになるとは誰も予想しなかったことだろう。
イモラでの予選クラッシュが今年のワーストだったと振り返られる年になってほしい。チームの過剰なプレッシャーが無いことは上手く利用し、フェルスタッペンに圧倒されてペレスが陥ったような悪循環には踏み込まず、RB21を乗りこなして、上位争いをする角田裕毅を見てみたいものだ。
