オランダGP後、レッドブルのロラン・メキース代表が来季以降の布陣に関して発言した。要旨は2つ。ひとつは「2026年ラインアップの決定を急がない。角田を支え続ける」という姿勢の明確化だ。角田裕毅が今季の起伏を乗り越えるため、チームは時間とリソースを投じるという。

角田裕毅の去就は毎日のように話題になっているが、メキースのインタビューで急がず拙速な結論を避けるメッセージが打ち出された。

他方で評価軸は厳格だ。レッドブルは「最大のパラメータはフェルスタッペンとの差」であると示し、角田の残留可否はチームメイトとのギャップで測ると明かした。物差しを掲げ、到達すべき頂を可視化した格好だ。

これはアメとムチの同時提示だ。セッションの印象や噂に振り回されず時間を与え腰を据えて鍛える―そのアメがメキースのコミットメント。一方、ムチは指標の単純化だ。予選一発のスピード、決勝のロングランペース、最終的にはすべてが「マックスとの差」で評価される。

またドライバーの評価について何かとメディア発言の多い、レッドブルのアドバイザー、ヘルムート・マルコは、ハンガリーGP後まで、角田とフェルスタッペンのマシンにバージョン差があったことを認識していなかったという。これで、彼がチームの運営情報にアクセス出来ていないことが露呈してしまった。彼の手元の情報でドライバーが公平に評価されているとは言い難く、今やレッドブル内でのマルコの決定権、発言権は限定的になっているのでは無いだろうか。レッドブル内で、誰がドライバーラインナップを決定するのか、傍目には分かりにくくなっている。

角田がやるべきことは明快だ。モンツァの予選でフェルスタッペンとのギャップを詰め、決勝で前を塞がれないポジションを確保すること。それが出来れば、残りのグランプリは厳しい目で試される場ではなく、自らの名誉を挽回するチャンスへ変わるはずだ。