フォード・モータースポーツ部門のトップであるマーク・ラッシュブルックは、ドイツAuto Motor und Sport誌に語った。

「最初は内燃エンジンに取り組むつもりはあまりなかった。しかし今では、多くを学ぶ必要があると感じて取り組んでいる。当初は部品製造のサポートをしていただけだったが、今ではほぼすべてのマシンとオペレーション面にまで関わっている」

フォード復帰のきっかけは、新レギュレーション、カーボンニュートラル、そしてF1人気の世界的な拡大だったという。

「僕たちは電動化についても学びたかった。バッテリーの化学、パワートレイン、インバーター、キャリブレーション、制御、そしてそれらが内燃エンジンとどう相互作用するのかを理解したかった」

フォードはF1において176勝、コンストラクターズ10勝、ドライバーズ13勝を誇る名門だ。しかし最後の挑戦は苦い結末を迎えた。1999年にスチュワートGPを買収し、「ジャガー」へとリブランドしたが、2005年にチームをレッドブルへ売却した。

「最後にチームと組んだのはジャガー時代だった。その時に僕たちは、チーム運営があまり得意ではないと痛感した。今では、どのカテゴリーでも完全なプログラムを持っていない」

だが今回は状況が違う。レッドブルが2026年から自前のエンジンプログラムに踏み出す決断を下した直後だったのだ。プロジェクトは初期段階にあり、資源の制約があることも明らかだった。大規模なF1チームであっても、ミルトンキーンズが独自にエンジンを開発した経験はなかったからだ。

レッドブルは2019年からホンダ製パワーユニットを搭載し、ほぼ専属の形でパートナーシップを築いてきた。一方で、ハースやウィリアムズのようなカスタマーチームは、フェラーリやメルセデスが供給するエンジンに適応するしかなかった。さらに2026年にはキャデラックがF1に参戦するが、当初はフェラーリ製エンジンを使用し、2028年からゼネラルモーターズ独自のエンジンを投入する予定だ。

「キャデラックが2026年にフェラーリエンジンで参戦することは歓迎だ。フェラーリ車がフェラーリエンジンで走ろうと、キャデラック車がフェラーリエンジンで走ろうと、誰が相手であっても競争を楽しみにしている」