ランド・ノリスがアブダビGPで見事な勝利を収め、マクラーレンが26年ぶりのF1コンストラクターズタイトルを獲得した。この勝利はノリスにとって今季4勝目であり、彼のF1キャリアを大きく前進させるものとなった。

「このシーズンをこの形で終えることができて完璧だ。マクラーレンが26年間タイトルを獲得していなかったなんて信じられない。この成果をチームに届けることができたのは、何よりも誇らしい。」
と、ノリスはコメントした。

マクラーレンはF1で2番目に長い歴史を持ち、フェラーリに次ぐ多くのレース勝利数を誇る名門チームだ。しかし、1998年を最後にコンストラクターズタイトルから遠ざかり、今年の結果がそれに終止符を打った。

マクラーレン復活への道

チームプリンシパルのアンドレア・ステラ氏によれば、今回の成功は「大きな忍耐力と信念」の賜物だという。ステラ氏は2014年にフェラーリからマクラーレンへ加入。彼の在籍初年度、マクラーレンの車両はルイス・ハミルトンのメルセデスよりも予選で5秒遅いという厳しい状況だった。しかし、それから10年足らずでチームを世界王者へと導いた。

2020年末にはCEOのザック・ブラウン氏が資金調達を成功させ、倒産寸前だったチームを救済。その後、ステラ氏が2022年12月にチームプリンシパルに就任し、翌年の途中から大幅なパフォーマンス改善が見られるようになった。2024年にはシーズン中盤からレッドブルに匹敵する速さを誇る車両を手に入れ、シーズン終盤には安定的に最速の車両を維持した。

メルセデスのチームプリンシパル、トト・ウォルフ氏はマクラーレンの復活劇について次のようにコメントしている。

「2年前にマクラーレンがここまで戻ってくるなんて誰も信じなかっただろう。」

タイトル獲得までのドラマ

アブダビGPでは、ノリスが完璧なレースを展開した一方で、チームメイトのオスカー・ピアストリがマックス・フェルスタッペンとの接触で後方に沈んだ。このため、ノリスとチームには大きなプレッシャーがかかったが、彼は冷静に対応し、フェラーリのチャールズ・ルクレールやカルロス・サインツの猛追を凌いで勝利を掴んだ。

ノリス、さらなる成長を誓う

ノリスは今シーズン、自身の能力をさらに信じることを学んだと語った。

「自分自身をもっと信じる必要があることを学んだ。マックスとの戦いでは特に厳しい場面が多かったが、それでも次のシーズンに向けて自信を持つことができた。」
「来年こそ、開幕戦の前に『タイトルを争う』と自信を持って言えるような準備を整えたい。」

ギル・デ・フェランへの敬意

また、ステラ氏はこの成功を故ギル・デ・フェラン氏に捧げた。デ・フェラン氏はマクラーレンのスポーティングディレクターとして2018年から2020年まで活躍し、2023年に急逝した人物だ。

「ギルは私がチームプリンシパルになる際に最初に相談した相手だった。彼は私のアドバイザーであり、彼の助言と存在がなければ今回の文化や成果を築くことはできなかった。」
と、ステラ氏は語った。

次なる挑戦

2024年シーズン後半、マクラーレンは最速の車両を維持していたものの、序盤の遅れが響きノリスのドライバーズタイトル獲得には届かなかった。しかし、来季は優勝候補としてスタートを切ると期待されている。

ブラウン氏とステラ氏のリーダーシップ、そしてチーム全体の努力が結実した今回の成果。マクラーレンは次のシーズンに向けて、新たな黄金時代を築く準備が整った。