
小林可夢偉が、トヨタとハースの提携の一環として、F1マシンでのテスト走行にサプライズ登場を果たした。F1フル参戦最後の年、ケータハムをドライブした2014年から、11年ぶりの復帰となった。
先週、フランスのポール・リカール・サーキットにて、ハースはこれまでの「TPC(過去マシンテスト)」プログラムで平川亮や宮田莉朋を起用してきたが、今回は意外な元F1ドライバーにチャンスを与えた。現在はWECとスーパーフォーミュラに参戦中の小林可夢偉が、ハースのVF-23マシンをドライブし、2014年以来となる最新F1マシンを体験した。
このテストは、ハースとトヨタのパートナーシップによって実現したもので、トヨタ側が「現代のF1を体感させたい」と希望したことが後押しとなった。可夢偉はWECでドライバーとして活躍する傍ら、トヨタのエンデュランスチームのチーム代表も務めている。
「今日はいつもと少し違う役割だった。普段はWECのドライバーであり、チーム代表としてトヨタGAZOO Racingにいるけど、今日はF1をハースと一緒に走るという全く違う立場だった」
「これはトヨタGAZOO RacingとハースF1チームのコラボレーションで、将来のテクノロジーを一緒に進化させていくための試みだ。同時に、モリゾウさん(豊田章男会長)の意向で、トヨタのドライバーにF1の可能性を与えるという意味もある」
「僕はもう若くないから、F1ドライバーを目指すという立場ではないけど、これからF1を目指す若いドライバーにとって大きな参考になると思う。今回の経験をもとに、F1という舞台でどんな感触なのか、どう準備すべきかをアドバイスできればと思っている。だから今日は、いわば参考データとしてF1マシンに戻ってきたという感じだ」
「2014年以来F1マシンに乗っていなかったから、11年ぶりの感覚はかなり違っていた。でも正直、すごく楽しかったし、マシンにもスムーズにフィットできた。体力的にも問題なかった」
「今日は本当に楽しかったし、ずっと笑顔で走っていた。こんな機会をもらえて本当に感謝している」
「この経験が、将来のF1ドライバーにとってより多くのチャンスを生むことにつながってくれるといい。もう一度F1をドライブできる機会を楽しみにしているよ」