
角田裕毅のモナコGPはF1で95戦目、片山右京の日本人最多出場95戦に並ぶレースだったが、華々しい結果には結びつかず、17位とほぼ最下位でレースを終え、ドライバーズチャンピオンシップでもハジャーに抜かれ12位から13位に後退した。
※片山右京のF1参戦は1992年から1997年、ヴェンチュリー・ラルース、ティレル、ミナルディから6シーズン95戦に参戦した。最高位は94年の5位(2回)だった。
序盤に起こったガスリーとの接触について、FIAのスチュワードは角田に過失はなかったと判断した。ガスリーはコメントを求められ、以下のように語っている。
「テレビでどう映っていたかは知らないけど、ブレーキが無いと言ったのは、すでにユウキとの接触が起きた後の話なんだ。僕はブレーキを踏んでいた。問題は、トンネルの前でユウキがミスをして、僕がすごく接近したこと。彼は毎周、右側のレコードライン上でブレーキングしていたんだ」
「でもこのラップで、僕はすごく近くにいて、左側にとどまる決断をした。そしたら彼が左側でブレーキングを始めたから、僕は右に切り替えて、もうその時点でブレーキを遅らせて踏んでいた。なのに、彼が再び右のレコードラインに戻ってきたんだ。僕はもう進む場所がなかった」
「こういうコースではラインを守るべきだと思う。2台が並んで走るスペースなんてそもそもない。ポジションを守ることはできるけど、右を閉じたら次は左も閉じるっていうのは違う。このトラックはただでさえ難しいんだから、スペースを残すべきだったと思う」
また、ガスリーは角田が無線で彼を「バカだ(idiot)」と呼んだ件について聞かれると、冷静に反応した。
「構わないよ。ヒートアップしてたんだろうしね。でも理解できないのは、通常のトラックなら、ブレーキングゾーンで動かないのが普通だということ。ブレーキを踏んだら、その場にとどまるべきだ」
一方の角田は、ガスリーが自分に責任を押し付けたことに驚きを示した。自分の行動に不備はなかったとし、同じ状況なら同じ行動を取ると語った。
「本当に謎だよ。ブレーキング中に変な動きなんてしてないし、変なことは何もしてない。正直、何が起きたのかよく分からない。ただ、僕の記憶では、ガスリーが僕に突っ込んできたって感じだ」
「え?って感じだったよ。僕は何も間違ったことはしてないと思う。もう一度同じことが起きても、同じようにするね。だって僕はずっと壁際に寄っていたし、自分が通るルートは決めていた。ブレーキング中に動くつもりなんてなかったから」
「ダメージについては、どうだろうね。バランスがちょっと不安定になった感じはあったけど、後で見た限りではパーツ的には問題なさそうだったのは良かった」
角田はまた、結果に繋がらなかった原因として、予選の不調を悔やんだ。序盤のピットインも、チームプレイをしたRB、ウィリアムズ、メルセデスに比べて効果を得られなかったと振り返った。
「人生で一番長く感じたレースだった。何かやらなきゃって思っていたし、あのポジションでは何か仕掛ける必要があった。前にいた2チームがチーム戦略で動くって分かってたのに、その状況に自分を置いちゃったんだ。だから予選をもっと頑張るべきだった」
「ペースは悪くなかったんだよ。予選は本当にグチャグチャだった。モナコだから簡単じゃないとは思ってたけど、全部が中途半端だった。特にQ2では1周しかチャンスがなかったけど、その1周をもっと上手く走るべきだった。ベストなトラックコンディションだったのに新品タイヤを使えなかった」
「でもポジティブなのは、FP3まではちゃんと速さがあったってこと。ただ、それを活かせなかったのは本当に悔しい」
FIAのスチュワードは、角田に問題はなかったと判断した。レース後の映像とテレメトリーデータの分析でも、角田が後続車に影響を与えるような急な動きは確認されなかった。
レッドブル代表のクリスチャン・ホーナーもガスリーのミスだと見ており、角田の予選に関する主張にも同意した。
「ユウキは(マックスと)逆の戦略をとったんだ。(ピットアウト後は)結構有利になるかと思ったけど、みんなが極端にペースを落として戦術に走り出したから、結局、彼はレースのほとんど同じタイヤで走り切った」
「後半にやっとクリアなトラフィックを得られて、そこで最速ラップを出したけど、それまでずっと渋滞の中だった。リアムだけじゃない。カルロス、アレックス、アントネッリと、ずっと前に3台もいた」
「問題は、予選で本来の位置にいなかったこと。でも彼はやるべきことはやっていた。マシンにダメージがなかったのは素晴らしいことだ。センサー上ではダメージは確認されなかった。あの衝撃はガスリーの判断ミスだったと思う」
ホーナーはまた、イモラでのクラッシュにより角田が新しいパーツを使えず、フェルスタッペンと同等の状態ではなかったことにも言及した。
「ユウキは今、そのイモラのクラッシュのせいでパーツを消費して厳しい状況にある。でもファクトリーが追いついてくれば、すぐにでも新しいパーツを戻してあげるつもりだ」