イタリアGPでQ1で4位に入ってみせるなど、自己ベスト級の予選を決めた角田裕毅だったが、Q3ではチームメイトのマックス・フェルスタッペンに大きな差をつけられる結果となった。

「レッドブルのセカンドシートの呪い」がしばしば語られる中、元F1王者で解説者のニコ・ロズベルグは、角田裕毅がなぜ同じペースを発揮できないのか疑問を投げかけた。

イタリアGPの予選が終了し、フロントローを奪ったのはおなじみの顔だった。今季はやや後退した印象もあるフェルスタッペンだが、最後の最後でランド・ノリスのタイムを塗り替え、記録的なポールポジションを獲得。スタンドを埋め尽くした観客から大歓声が沸き起こり、現代F1を象徴する王者の強さを改めて見せつけた形だった。圧倒的な一撃は、シーズンの流れに再び勢いを与えるものとなった。

角田は10番手のタイムを刻み、ルイス・ハミルトンのグリッド降格によって9番手からのスタートとなる。これは今季の中でも上位に入る予選結果であり、本人も前進を実感したが、再びフェルスタッペンとの差が大きく開いた。結果として7〜8割方は満足しながらも、チーム内での立場を意識せざるを得ない苦しい一日となった。

スカイスポーツの放送でロズベルグは疑問をぶつけた。

「説明不能だ――理解できない。だってユウキは素晴らしいドライバーだ。レーシングカーを操る術を知っているのに、どうしてこんなに差がつくんだ?またしてもだ。彼らがまだ解決策を見つけられないなんてクレイジーだ」

ロズベルグはフェルスタッペンのマシンが完全に同じ仕様でない可能性を認めながらも、その差が0.7秒に達するとは考えられないと指摘した。

「ドライバーによる差など、せいぜい1〜2テンポ(0.1秒程度)だろう。ユウキには同情するよ。今日も本当に厳しい一日だった」

角田にとってイタリアGPはこれまで鬼門だった。過去4度の挑戦でスタートできなかったのが2回、リタイアが1回、唯一完走したのは14位でポイント圏外。今回の予選9番手は、その流れを打ち破る明るい兆しでもある。フェラーリのホームレースとして異様な熱気に包まれるモンツァの舞台で、角田が新たな一歩を刻んだことは大きな意味を持つ。

しかしロズベルグが突きつけた問いは、F1界に長く渦巻くテーマを再燃させた。レッドブルでなぜフェルスタッペンだけが突出した速さを見せるのか。本当に誰も彼を打ち破れないのか。セカンドドライバーたちは、経験の無いドライバーではなく、いずれも優秀な才能を持ちながら壁にぶつかってきた。角田もその重圧の中にある。フェルスタッペンの独壇場を崩せる日は来るのか。それとも「レッドブルの呪い」は今後も続くのか。