
レッドブルの復調をめぐり、発端から潜んでいた答えがようやく輪郭を得てきた。フェルスタッペンは「RB21の潜在力は元からあったのか」という問いに対し、開幕直後からパッケージの本質は一貫しており、浮き沈みはマシン潜在力の引き出し方の差だと強調した。
「セットアップの理解が深まり、極端な変更を繰り返す必要がなくなった。僕らは迷っていたわけではない。正しいウインドウを見つけ、そこに長く留まる術を学んだだけだ。」
角田裕毅の「RB時代のセットアップ感を取り戻すことが鍵だった」という証言も象徴的だ。ドライバーが信頼できる舵角でドライブできる―そんな基準値の再定義が、迷走気味だった週末を立て直した。
「僕らが速かった時の感覚に立ち返ると、タイヤの入りも安定し、攻め始める位置が一段早くなる。」
結果を出したのは魔法の新パーツではなく、最適解の再発見という視点だった。フェルスタッペンの言う「潜在力」は、数値上の改善を望むだけではなく、速さをいつでも引き出せる状態に保てるかどうか。答えは最初からマシンの中にあり、チームはそれを見出す方法を発見した。
一方で、メキースは謙虚な姿勢を崩さず、チーム全体の働きを強調した。彼は冷静な分析力こそが、マシンの真のポテンシャルを引き出す鍵だったと語る。
「パフォーマンスの向上は、チーム全員がマシンの限界を1戦ごとに分析し、どこが妨げになっているのか、どうすれば性能を引き出せるか、どこに改良を加えればタイムにつながるかを突き詰めてきた結果だ。そしてマックスの鋭い感覚からのフィードバックも大きい。全員の努力が実を結び始めているのは、本当に嬉しいことだ。」
「僕らには夢のようなチームがある。ミルトン・キーンズのファクトリーでも、誰一人として諦めなかった。マシンの潜在能力を信じて、全員が懸命に働き続けてきた。その成果が、ここ数週間の劇的な進化につながっているんだ。」